ジェリドのプレゼント
1月に書籍化予定だったのですが、その話が流れたことにより、少々くさってしまい、話が書けず、更新が出来なくなってしまっていました。ですが、発売予定日も過ぎ、これからまた少しづつ更新していきたいと思いますので、これからもよろしくお願いします。
そして、この話が書けなくなっていた間に新作を始めました。
まだ16話ですが自信作ですので、こちらの方も後書きの下にあるリンクからお読み頂けたら嬉しいです!
ジェリドを見送った後、僕は作業部屋にこもり、画家に描いてもらったソシアの肖像画と、ソシアの両親の形見である宝石の原石を眺めながら、ソシアへのプレゼントを考えていた。
「良くも悪くも、ジェリドのお陰で予定は狂っちゃったけど、幼い日の約束もあるし、どうしてもこれだけはちゃんとしたいんだよね」
僕とソシアの幼き日の約束は、ソシアが僕に相応しい女になり、僕が一人前になったらソシアを僕の嫁に迎えるというものだった。
もともと僕にとってソシア以上の女性はいなかったし、僕が一人前になった時、彼女が僕のことを認めてくれたなら、一緒になりたいという僕だけの身勝手な夢でしかなかった。なのにソシアは、自分も僕に相応しい女になり、ともにブラッドリー家を支えられるようになりたいと言い。次代のアルベド様から認められ、姉と慕われるほどの努力を重ね、約束通り僕の下に戻り、あの時と変わらぬ愛を僕に与えてくれた。
そして婚約した今、彼女はこのブラッドリー領を守るため、数年前に習得を諦めた時空間結界の習得を目指し頑張ってくれている。そんな彼女の努力と気持ちに報いたい。今考えているのは、そのためのプレゼントだ。
「前世で結婚と言えば指輪だったけど、指輪にするにはサイズが大きすぎるんだよね」
今回使うのは、ソシアの両親の形見である宝石の原石だ。これを使ったプレゼントを作りたいと思っている。だがこれは、彼女の両親の形見でもあるので、出来るだけそのままのサイズで使いたい。ちなみにこの原石、サイズは野球ボールくらいのサイズがあるため、指輪にするなら大半をカットしなくてはならないので、指輪という案は何となく口に出しただけで、元々本気では考えていない。
――コンコンコン――
どうしようかと悩んでいると、部屋をノックする音が聞こえてきた。ノックの回数は三回。ジェリドがいない今、ノックを三回するのはソシアだけだ。
ソシアには僕がプレゼントを贈ろうとしていることは内緒にしているので、ソシアにそのことを気取られないよう、肖像画に布をかけ、原石を箱の中に隠してからメイド姿のソシアを迎え入れた。
「待たせてごめんね? どうぞ」
「失礼します。ジェリド様のお部屋の清掃をしようと部屋に入ったところ、アウラ様宛のお手紙がございましたのでお持ちいたしました」
「手紙?」
「はい。ジェリド様の机の上に置かれておりました」
「へぇー。さっきまで一緒にいたのにわざわざ手紙を……これって他にも何通かあったの?」
「一緒にローラから私への手紙も置かれていましたが、ジェリド様からの物は少なくとも私はその一通のみしか存じません」
「そうなんだ? うんわかった。ありがとう。ローラからの手紙はもう読んだの?」
「いえ、先にアウラ様にお届けするべきと思い、まだ読んでおりません」
「じゃあそれ、部屋で読んできなよ? 気になってるんでしょ? 僕の前だと読みにくいだろうし」
「いえ仕事中ですので、後で読ませてもらいます」
「はぁ、じゃあ雇用主として命令するね? 今から30分の休憩を取ること。それとこれはお願いなんだけど、その間に自室でローラからの手紙を読んできてくれないかな?」
「……なぜですか?」
「その手紙、すごく気になってるんでしょ? 僕もだよ。でもなんだか照れくさいし、一人でゆっくり気兼ねなく読みたいんだ」
「……わかりました。ではアウラ様。ありがたく休憩を頂き、その後紅茶をお持ちしますね」
「うん。ありがとう。お願いするね」
「かしこまりました。では失礼いたします」
僕と婚約したソシアがまだメイド姿なのは、ソシアが未だにメイドを続けているからだ。ソシアと婚約した翌日、僕とソシアはこのようなやり取りをしていた。
「ソシア。もう僕たちは婚約したんだし、メイドは辞めてもいいんじゃないかな?」
「私達ブラッドリー家の使用人は皆、年間契約制です。つまり、私の契約はまだ今年度いっぱい残っております。レイラも同様に残っておりましたが、レイラはちゃんと違約金を払って屋敷を出て行きました。なのにアウラ様と婚約したからと言って私が勝手に辞めることは、他の使用人に対して示しがつきません。ですので今年度いっぱいは、客人対応などの場合を除き、メイドとしてのお仕事を続けさせていただこうと思います」
ソシアはこういうケジメや契約ごとについては必ず守ろうとし、言い出したら絶対聞かない。だから僕はこのことについてはもう諦めていた。ブラッドリー家の使用人たちは基本複数年契約を結んでいるが、彼女はメイド長にまでなりながらも、複数年契約を結ぶことはなく、単年契約による契約更新を続けていることは僕も知っていた。だからこうなる可能性は薄々気付いてはいたんだけど……。まぁ良い、それもあと少しの辛抱だ。今はジェリドの手紙を読むとしよう。
ジェリドの手紙の最初の一文は、僕への悪口から始まった。
女顔はお互い様だとか、最後に僕がおねしょをしたのは、実はジェリドと大して変わらない時期だった。とか。どうやら口喧嘩をした時のことを未だに根にもっていたらしい。でもそれも、明らかに僕が気を悪くしない程度に抑えて書かれたものであり、その後は感謝の気持ちがたくさん書かれていたので、ジェリドなりの照れ隠しだったらしい。そして最後は、ジェリドからの婚約祝いのプレゼントがあったらしく、そのプレゼントがある場所に行く方法が書かれていた。
書かれていた内容はこうだ。
「僕の文机の引き出しの中に笛があります。それを家の外で吹くと、僕の友達達が現れ、森を抜け、兄さんをとある場所まで案内してくれます。そこにあるものが僕達から兄さんへのプレゼントです。好きに使ってください。それなりに大きい物なので、持ち帰るために近くまでは馬車で行かれることをお勧めします」
まるで前世でやった宝探しみたいだ。と思いながら僕はラムサスに馬車の手配を頼み、ソシアの帰りを待って、ソシアとともにこの宝探しを楽しむことにした。
休憩を終え、目を赤らめて帰ってきたソシアは、聞いてもいないのに手紙の内容を話してくれた。よほどローラからの手紙が嬉しかったらしい。ソシアはひとしきり話し終えると、ジェリドから僕への手紙について聞いてきたので、ソシアにも僕への手紙を読んでもらう事にした。
「そういうことでソシア、ジェリドのプレゼントをもらいに行こうと思うんだけど、一緒に来てくれないかな?」
手紙を読み終えたソシアをそういって誘い、僕たちはこの宝探しを開始することにした。
まずはソシアとともにジェリドの文机に入っていた笛を回収し、ラムサスに用意を頼んだ馬車の横で笛を吹いてみたのだが、この笛から音がすることはなかった。壊れているのか? と首を捻っていると、数秒後にはジェリドが飼っていた狼たちがしっぽを振りながら現れた。どうやらこの笛は犬笛だったらしい。
普通は狼が近づくと怖がって逃げてしまうのが馬なのだが、うちで飼っている馬たちは毎日のようにこの狼たちがうちに来ていたため、とっくになれており、怖がるそぶりは一切ない。
「あれはついて来い。ってことかな?」
「そのようですね」
現れた狼たちが向かおうとしているのは、王国からは将来的な海洋貿易を見据え、なるべく早く開拓事業を進めるようにと言われていたが、元ドラゴニールの国民からは、『犯すべからざる神域』と警告を受けていた方角だ。過去実際に開拓を行おうとした際、熊や狼などの野生動物。特に狼の数が激増し、開拓を最近まで断念することとなっていた。そしてその時、野生動物に対する最初の防波堤となり、将来の開拓拠点とするべく建てられたのがこのブラッドリー家の屋敷だったという経緯がある。
実際神獣であるリアナがこの先の森の中に棲んでいたので、元ドラゴニールの国民から受けた警告は正しかったと言えるだろう。
ちなみに、この狼たちが現在向かおうとしている『神域』の開拓許可は、そこに棲んでいた神様たるリアナにジェリドが頂いており、四月からは数年ぶりに海の方角への開拓が開始されることが決まっていたりする。
「僕達は馬車の中に入らせてもらうから、ラムサスはあの狼たちの後を付いて行ってくれるかな? ついて行けなくなったらその時また教えて?」
「アウラ様私は――」
「わかりましたアウラ様。若奥様」
「――っ」
ソシアの言葉をラムサスが睨むような目つきで遮った。
ラムサスは僕が次期当主として父さんに指名されて以降、「ラムサスさん」と呼んでも反応してくれなくなった。「次期当主ならば次期当主らしい態度を取れ」という事らしい。そしてそれは、屋敷の外でのソシアに対しても同じであり、どんな内容であっても「ラムサス」と呼び捨てにしなければ、足を止める事はなく、必ず「若奥様」として正しい態度を要求するので、前者はともかく後者は正直僕にとってもありがたい。
僕らが馬車に乗り込むと、狼の吠える声が多数聞こえ、その後馬車は走り始めた。
この馬車は御者席と僕たちが座る馬車の中とが完全に分かれており、馬車の左右のドアには窓があるが、御者席側には窓がない。そのため進行方向の様子は分からないが、狼たちは森の中の道なき道を走ったりはせず、開拓のために先行して伸ばした街道を進んでくれているらしい。
「街道ってまだそんなに長くなかったはずだよね?」
「はい。ジェリド様のお手紙には『馬車で』と書いてありましたが、2㎞も進めば街道がなくなるはずです。ただ、その辺りにはなにもないはずなので、そこからは狼を追いかけて歩くことになると思われます」
「そうだね。でもちょうどいいかな? 父さんの後を継いだら僕が海までの開拓を進めることになるんだろうし。その先は誰かの領地になるのかもしれないけど、海洋貿易のできる街が隣に出来れば、ブラッドリー家は益々潤うことになる。もしあの嘆願が通れば、その街も僕たち主導で作れるかもしれない」
「……嘆願? ですか?」
「あぁ。うまく行った時には何を条件にしたのか教えるよ。こっちはダメ元で具申した嘆願だったから多分無理だと思うしね」
「……わかりました。その時はお願いします」
「うん。それと、ジェリドのプレゼントを回収したら、その後僕を空に連れてってくれないかな?」
「――空……ですか?」
「うん。海を見てみたいんだ。将来。何年後……開拓民が上手く集まらなければ何十年後かもしれないけど、僕たちが開拓し、誰かが海洋貿易都市を作るその場所を見ておきたいんだ」
ソシアはそんな僕の願いに笑顔で答えてくれた。
「わかりました。喜んでお供いたします」と。
▽
僕はソシアと先ほどまで他愛もない話を楽しみつつここまで来たのだが、先程から少し違和感を感じていた。
ソシアとの話に気を取られていたため正確な時間はわからないが、どう考えても出発から1時間近くは経過している気がしたのだ。馬車の並足は凡そ時速7㎞といったところ。悪路であれば速度も落ちるが、最初の方に少し悪路特有のガタガタした感覚があったが、現在はほとんどない。つまり恐らく最低6㎞は走り続けたことになる。
「……おかしいですね。ここまでかかった時間から考えると、もう街道は終わっているはずなのですが……」
「予定よりも実際は工事が進んでいたってことかな?」
「こちらの開拓時の警護は、ラムサスが担当しておりましたので、私はあまり詳しくはわからないのですが……報告書には屋敷から3㎞ほどの距離に流れる川へと向かって凡そ2㎞――」
僕たちが窓から外を眺めながら話していると、外の景色がいきなり変わった。
「「えっ!?」」
左右の窓から見えるのは、どうみても岩肌だった。影の中に入っているらしく、かなり暗くはなったが、先の見えない洞窟のように真っ暗になると言うほどではない。
「ラムサス! 外の景色がおかしい! 僕たちは今どこにいるんだ!?」
「森の中ですよアウラ様。間もなく到着すると思われますので、もうしばらくお待ちください」
「……ラムサス。先週頂いた報告書には、街道はまだ取水を目的とした川へと向かって凡そ2㎞しか進んでいないと書かれていたはずです。その間にこんな大きな岩場などなかったはずです。この馬車はいったいどこに向かっているのか? 現在地はどこなのか? 答えてください」
「私もここには初めてくるので正確な位置はわかりませんが、今は屋敷から凡そ10㎞ほど来た辺りです。ジェリド様からは、街道の先を10㎞くらいつないであるので、そこまでアウラ様たちを馬車で連れて行ってくれ。と昨夜頼まれましたので、間もなくかと思います」
街道を担当者が知らない間に10㎞もつなげたってなんだ? いったいどうやってやったんだ?
「……なんていうか、ジェリドはなんでもありなんだね? 彼と後継者争いとかにならなくって良かったって、久しぶりに思ったよ……」
「色々な物を発明するアウラ様の力も、旦那様の武力も、皆一様に常識外れにすごいと思われます。ジェリド様もアウラ様のことをすごいと言い、とても尊敬されていますし、旦那様もブラッドリー領で一番人望があるのはアウラ様だと仰っておりました。秀でた物がそれぞれ違うだけで、私は皆様一様に素晴らしい方達かと思います」
「ありがとう。ソシア――」
コンコンコンコン
御者席側からノックが聞こえてきた。馬車を止める間の合図だ。
「そろそろ着くみたいだね?」
「ラムサスが御者を務めておりますので大丈夫かとは思いますが、念のため振動にはお気を付けください」
「あぁ、ありがとうソシア。ソシアも気を付けてね」
「はい。ありがとうございます」
馬車が止まった後ラムサスが扉を開け、馬車から降りようと地面に足を付けた時、僕は自らの足を置いた地面を見て。そして辺りを見渡し僕の動きは止まってしまった。
「……? アウラ様、どうされ――」
僕の後に続いて降りようとしていたソシアの言葉も中途半端に止まった。どうやら僕の後ろから僕が気付いたものに気付いたらしい。
「……これってたぶんリアナだよね?」
「……おそらくは……」
僕が足を下した地面の1m先には50㎝程の段差が存在していた。僕が足を下した場所の方が50㎝ほど低いのだ。そしてその段差の表面は、綺麗に直角にえぐれており、馬車の反対側にも1m前後の幅を開けて同様の段差があった。その段差はいったいどこまで続いているのかと思い、馬車の進行方向を眺めてみても、切れ目が見えないほどどこまでも続いている。
逆に自分たちが来た方向を見てみると、小高い岩山が聳え立っており、その岩山にはこのえぐれた道の延長線上に正方形のトンネルが出来ていた。
つまりここには、少なくとも肉眼で見える範囲で、どこまでも真っすぐ続く綺麗にえぐれた道が、岩山すら貫いて出来ていたのだ。
「……これ、どうやって作ったのかな? それとどれくらい時間かかったのかな?」
「高さや方角を調べるのに半日、作業時間は数秒と聞いています」
「……ラムサス。これを人力でここまでやろうと思ったらどれくらいかかると思う?」
「この先を考えず、ここまでで良いというのであれば、10年で出来れば上出来かと。……もちろん岩山は迂回しますし、もう少し凸凹になるとは思いますが……」
「……それを半日?」
僕の人生の大半を懸けて取り込もうとしていた事業の何割かがたったの半日? なにそれ?
「……ローラがリアナ様に気に入られていて本当に良かったです」
ソシアのつぶやきを聞いて、ローラがリアナに実害を与えた失敗や、怒らせた事件の数々を思い出す。
僕が知っているだけでも、寝ぼけて尻尾に噛みついたことや、寝ているリアナを踏んづけたこと。リアナのおやつを勝手に食べたこと。水を頭からかぶってしまい、リアナで体を拭いたことなど、思い返せばキリがないほど怒らせてはいつの間にかに仲直りを繰り返していた。
「最近はみんな気安く接していたけど、あれでも最強クラスの神獣。神を冠する獣だったんだよね。初めてリアナと会ったあの日以来、初めてリアナのことを怖いって思ったよ」
「私もです」
僕とソシアが馬車から降りると、目的地について教えてくれた。
「この大型動物が通ったような獣道を歩いて行くと、洞窟があるそうで、そこにあるものがプレゼントだと伺っております」
「この街道だけでもとんでもないプレゼントなんだけどね。じゃあ行こうかソシア」
「はい」
言われた通りに獣道を進んでいくと、数十mほどで件の洞窟に行き着いた。洞窟の前には木の看板が立っており、そこにはローラが書いたと思われる大きな文字で「リアナちゃんのお家」と書かれている。どうやら目的地で間違いなさそう……なのだが、それにしても、これは……。
「ははっ。これじゃあまるで犬小屋じゃないか」
「ふふっ。えぇ、とっても可愛らしいです」
この看板の効果か、先程リアナに感じたちょっとした恐怖もなくなり、少しほっこりした気持ちで僕たちは洞窟の中へと入って行き。
「こ、これは!」
ジェリドのとんでもないプレゼントに驚愕しつつ、それを見た瞬間、僕の中でソシアへのプレゼントが決まった。
▽
ジェリドのプレゼントを馬車まで運んだ後、ソシアに空まで連れて行ってもらって上空から街道を確認すると、海岸の数㎞手前から地面が低くなっていたため、その辺りには街道が通っていなかったが、低くなるまではしっかりと街道が出来ていた。
どうやってこの街道を作ったと思うか? ソシアに聞いてみたところ、作業時間が数秒ということは、おそらくはその形にブレスを精製し、角度を調整して放ったのだろうという事だった。今後この街道が岩崩れや川の増水などで分断された時のために、ジェリドが帰ってきた際にはもう一発ブレスで街道を作ってもらえるように頼めないか? 本気で思案しつつ僕たちは屋敷へと帰ることにした。
屋敷に帰った後、僕は自分の作業部屋に入ってソシアへのプレゼントの設計図を書き始めたのだが、その作業はすぐに中断されることとなった。
王家の使者がきて、僕に会いたいと言っているらしい。
なぜ今王家の使者が僕に? と思いつつ、僕は使者が待つ応接室へと急いだ。
コンコンコンコン
「どうぞ、お入りください」
若い男の声に従い、僕は応接室の中に入る。中にいるのは見知らぬ男一人で父さんや他の人間はいない。
「初めまして、私、王国儀典官のジルバ=二クスと申します。アウラ=ブラッドリー様でお間違いなかったでしょうか?」
「ご丁寧にありがとうございます。はい。私がアウラ=ブラッドリーです。本日はいかなるご用向きで? それと私はまだ父の後を継いでいないのですが、父ではなく私でよろしいのでしょうか?」
「はい。本日はあなたに用があって来させて頂きました」
「……左様でございますか? ではその御用とは?」
「はい。実はアウラ様への子爵位の継承について疑義が出まして、本日はその件について来させて頂きました」
「……疑義?」
「はい。ゴールドマン大公より疑義が出まして、臨時会議の末、アウラ様への子爵位継承は却下されました」
今回は、購入特典用SSの話を、次話に繋がるように書き直した内容になっています。
次回、試験の終わったジェリドは、兄であるアウラが、子爵位継承を拒否されたことを知り、憤ります。その後のジェリドの行動は? そもそも試験はどうなった?
次回【アウラの爵位】(仮)をお楽しみ下さい!
次回投稿は書け次第となります。
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