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俺はいったい何者だ? 記憶喪失からの成り上がり  作者: どんちゃん
第一章・現状把握とブラッドリー子爵領
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第10話 夢の中の少女

ブクマ10人記念投稿です。

皆様ありがとうございます。

ここからしばらくはまったりフェィズです。

「お、降ろして……。もう無理限界なの。出ちゃう漏れちゃうゴールしちゃう。お願い降ろして出ちゃう出ちゃう漏れちゃう出ちゃう……あ……」


 ローラの様子を見にきたら、吊されているであろう場所の手前でローラのボソボソ言う声が聞こえてきたのだが……『……あ……』ってなに? ゴール? ゴール決めちゃったの? 


「ジェリドちゃん助けてほしいの……もう限界が近づいて……」


 まだ部屋に入っていないのに気付かれた……。


「ジェリドちゃん、お願いだからメイド長を呼んできて……そろそろ限界なの……2度目のゴールが近づいてきてるの……」


 2度目? ……1度ゴール決めた後なの!? 


「次はゴールを避ける自信がないから、早く呼んできて……お願いしたよ? ……さぁ行くの……」


 良かった。なんとか耐えたということか。可愛そうだしソシアさんを呼びに行ってあげよう。


「呼んできてあげるから、もう少し我慢しててね?」

「ジェリドちゃんは天使だったんだね……。小悪魔スマイルしてたけど、実は天使だったんだね」


 ……行くのやめるよ? 


 その後、メイド長を呼びに行くと、兄さんをお風呂に送った後だったらしく、すぐに駆けつけてくれた。


「メイド長が助けに来てくれたのです。早くそうっと、おなかに負担をかけずに降ろしてほしいのです」

「はい。もう少し我慢して下さいね」


 高い梁にどうやって吊したのか? そしてどうやって降ろすのか、気になっていたので見ていると、ソシアさんはまるで階段を歩くかのように平然と何もない空中を足場に歩いて梁までいき、縛られたローラの足のロープを解いて彼女を伴い降りてきた。


 ローラも慣れているのか、見えない足場を苦もなく歩いて降りると、そのまま内股で歩いて部屋を出た。


「……ソシアさん、今のはどうやって空中を歩いたんですか?」

「空間固定した結界を作り出し、それを足場に歩きました」

「そんな事出来るんですね! 他にも出来る方とかっていらっしゃ──いるんですか?」

「はい。これくらいなら出来る方はある程度いらっしゃいます。……正式な自己紹介はまだでしたね……。ご存知の通り私の名はソシア……当代限りの騎士公ではありますが、王立学園卒業時に頂いた家名はスカイウォーカー。ソシア=スカイウォーカーと申します。このように、結界を足場としてある程度空を自由に歩いたり走ったり出来ることが名の由来です」


 やはりソシアさんも王立学園卒業時に貴族となったのか……。


「では私はそろそろ失礼させていただきます。……屋敷の案内はまだお受けになられておりませんよね?」

「はい。後程ローラに案内してもらうことになってます」

「左様でございますか……ではアウラ様がお上がりになられましたらお声をかけさて頂くので、それまでお部屋でおくつろぎ下さい」


 俺は言われた通り、俺にあてがわれた客室で暫く待つとローラが来た。


「ジェリドちゃんお風呂だよぉ。アウラ様も旦那様もお風呂から出たから、ジェリドちゃんにお風呂に入るようにってメイド長が言ってたよ」

「ありがとうローラ。お風呂から出たら屋敷の案内を頼むね」

「良いよ。お風呂は部屋出て右に道成に行った突き当たりだよ。後で着替えとタオル持って行くから、ジェリドちゃんはなにも持たずに先にお風呂に行っててね」

「わかった。ありがとうローラ」


 脱衣場で服を脱ぎ風呂に入る。

 風呂はかなり広く、10人くらいは楽に入れそうだ。これなら確かに手が空いた人からどんどん入ってきても問題ないだろう。

 体を洗い流してお風呂につかる。

 お湯の温度もちょうど良く、とても気持ちが良かった。

 本当は体を洗ってから入りたかったのだが、体を洗う布なりブラシなりが当然ながら無く、ローラ待ちになったので仕方がない。


 暫くすると脱衣場から音が聞こえてきた。ローラが着替えやタオルを持ってきてくれたようだ。ローラが脱衣場から離れたら取りに行こう。


 ──ガラガラガラガラ──


 ……ん? 今の音は……お風呂の引き戸が開く音? 


 ピチャピチャピチャピチャピチャピチャッ。バッサーン


 俺の真横に何かが飛び込み、盛大に水しぶきを上げた。


「ジェリドちゃんお待たせぇ」


 ……俺の腕になにか柔らかい物が抱きついているが、意味が分からない。


「ジェリドちゃん。どうしたの?」


 意味はわからないが、ローラが俺の腕に抱きついているということは理解した。


 ──お風呂の中で。


 つまり俺もローラも当然──裸?


「……う」

「う?」

「うをわあぁぁぁぁぁぁぉぉぁぁぁぁぁぉぁぁあ!!」

「ひぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぉぁぁぁぁぁぁぁあ!!」


 俺は思わず悲鳴をあげる。そして横で俺が何かを言うのを聞き耳立てて待っていたらしいローラが、その悲鳴に驚き更に悲鳴をあげていた。


「なんでいるの!?」

「アウラ様の後はどんどん入るって言ったじゃない!?」

「俺が入ってるだろ!?」

「なんでジェリドちゃんが入ってたらダメなの!?」

「そりゃダメだろ!?」

「なんでよ!? アウラ様の後は、女性の次が男性以外の順番なんてないよ!?」

「それは俺が出てからだろ!?」

「なんでジェリドちゃんを待たなきゃいけないの!?」


 ゴンゴンゴンゴン


「ジェリド様大丈夫ですかっ!? どうされました!?」


 ゴンゴンゴンゴン


「ジェリド様大丈夫ですかっ!?」


 ソシアさんが脱衣場まで駆けつけてくれたらしく、浴室のドアを少し強めにノックしながら安否を尋ねてくる。


「男と女は一緒に入らないだろっ!?」

「女の子同士なんだから問題ないじゃないっ!?」

「その声はローラさん!? 何故ローラさんが中にいるのですか!?」

「女の子同士じゃなく俺は男だ!!」

「………………」

「ジェリド様! 大丈夫ですかジェリド様!? ローラさんは何故中にいるのですかっ!?」

「それは俺が聞きたいよっ!!」

「……い、いいやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ」


 ピチャピチャピチャピチャピチャガラガラガラガラ──ドスン──バタン。ガラガラガラガラ……


「失礼致します」


 ズルズルズルズル……


 ローラが走って浴室を出て行き、恐らくソシアさんに捕まったようだ。

 その後暫く風呂に入っていたが、落ち付いた気分にはなれなかったので、脱衣場に誰もいないことを確認してローラが持ってきてくれたらしいタオルで身体を洗ってさっさと風呂を出た。

 着替えて外に出ると、ソシアさんとローラがいた。ローラは土下座をしながら待っている。

 あっ……ちゃんと服は着てるよ? 


「ジェリド様。この度はローラがご迷惑をおかけしてしまい申し訳ございませんでした。ローラの誤解やお風呂のルールに関しては、可能な限り教え直しましたが、この様な粗相を初日にも関わらず2度も続けてしまい申し訳ございませんでした」

「いえソシアさんが謝ることでもないですし」

「彼女をジェリド様の専属メイドにする決定は、メイド長たる私が具申した結果です」

「ごめんなさいです」


 ローラが土下座をしながら謝罪した。

 どうやら誤解は解けたようだ。


「……そういう言い方をされるのでしたら、それを聞き入れ、最終的に決定した父さんか兄さんのどちらかの責任であり、ソシアさんに非はありませんし、元々攻める気も有りません」

「……しかし私が推薦しなければ」

「今回はローラさんの勘違いから生まれた事故ですから、今後ローラさんが気をつければいいだけの事です」


 ソシアさんは、まだ何か納得のいかない表情をしていたので、自分の考え方を伝えることにした。


「下の物の意見を聞かない者は無能ですが、下の者の意見を鵜呑みにし、責任を取らない者は害虫以下です。下の物の意見を聞いて自分で考えて認可を出し、何かあれば責任をとる。それが上に立つ物の責任です。ソシアさんが気に病む必要はありませんし、ソシアさんがローラさんを教育して下さっているので、僕がなにかを言う気もありません」


 少し驚いた表情をしたが、今度は何か納得してくれたようで、頭を下げて礼を言われ、ローラはどこかに連れて行かれた。


 その後僕は部屋に戻り布団に入ると、すぐに眠気に襲われた。

 馬車の移動や慣れない環境……慣れた環境でも記憶がないから一緒かもしれないけど、とにかく疲れていたようだ。

 意識が遠のいていくのを感じた。

 ……ローラに屋敷を案内して貰うの忘れてた……な。

 ……まぁ良いか……どうせ吊されてて案内でき──。



 ▽


 ここはどこだろう? 

 時間は……わからないが夜だ。

 綺麗な黄色い満月が出ていて、雲一つかかっていない。

 腕の中で何かが動いた。

 空を見上げていた視線を落とすと、腕の中には可愛い女の子が力無く俺の腕に抱かれている。

 長い銀色に輝く髪に黄色い瞳と、とても整った顔をしている女の子。

 ただしその口の周りは血で濡れていて、息をするのも苦しそうなのに、俺に必死に笑顔を見せようとしている。

 俺の中にこの子の事を愛おしいと言う気持ちと、若干の寂しさが流れ込んできた。


「□●☆■◆☆●◯◇●□◯☆■★★●□」


 俺の口が何かを女の子に話しかけているが、なにを話しているのかがわからない。

「……これく……い平気だ……ん」

「●□◇■◯◆☆●◇◇◯?」

「……強がってな……んか……ない」

「●□◇■◯★◆◇◇◯」

「そ……事……ない……ん」

「○●□◇◆◯◇◆■★□○☆◆◇★◯◇◆」

「でも……最後……表……情が……な……絶え…ら……ない」

「☆○☆★○◯◆▽?」

「そ……よ………ぜっ……い……わた……の……最……の……笑……顔……」

「▽◆◯◇●■▽◆? ……◇▽◆◯……◆◯▽◇▽◆」


 女の子は意識を失い動かなくなった。

 その途端、俺の心には悲しみと寂しさが押し寄せる。


 俺は女の子を抱き上げ歩き始めた。

 どこに行くつもりなのか、俺にはわからないけど行き先が決まっていると言うことだけはわかった……この子はいったい誰なんだろう? 




 ▽


 まだ薄暗い中目を覚ます。

 夢の中でもはっきり夢とわかる夢から覚めてみると、まだまだ日が昇るには早い時間のようだった。すぐにはもう一度寝る気になれず、水を飲みに食堂横の水瓶へと向かった。すると視界の端に何かが見えた気がしてそちらに目をやると……。


 ──ローラがまた吊されていた!


 昨日のような逆さ吊りではなく、首にロープをかけられて、揺れることすらなく吊るされている。


 ──もしや!? とも思ったが、寝息が聞こえたのでちゃんと息はあるらしい。

 ……首にロープって……怖いなぁ。どうやって吊しているんだろう?


「おはようジェリド様。もう朝?」


 いきなり目が開き、首にロープを巻かれた状態でほのぼの挨拶をされたので、正直ちょっと怖かった。


「 おはようローラ。まだ朝じゃないけど水を飲みに来たんだ」

「そうなんだ? 水なら水瓶の水が昨日の夜に水路から汲んだ水だから、それを飲んでね」

「ありがとう。それはそうとそれ、どうやって吊されてるの?」

「梁から吊したロープで、竹と私を巻き付けて固定してるんだよ。ロープだけだと安定しないから、吊す為のロープはお腹のベルトで止めて、残りのロープは体を固定するのに竹に巻き付けたり色々してあるよ」

「やけに高度な吊し方をされてるんだね……」

「ソシアさんは人を吊す名人で、私は吊される名人なんだよ。まだ朝じゃないなら、私はもう少し寝るね? 朝が来たら起こしに行くから、それまでおやすみなさい……」

「……あぁおやすみ」


 恐い寝方だなぁ……水を飲んで俺ももう一眠り出来たらしよう。 

 ……もしかしたらそろそろブクマ10人届くかも?

 届いたら先出ししようと思い投稿予告をせずにブクマ件数をチラチ見ていたら……


 ついに10人突破しました!!!!


 昨年までは読む側のみだったので、観覧履歴もあるしブクマ登録なんてせずに読んでいましたが、ヘボ作者ではありますが書く側になってブクマ登録のありがたみに気付きました。


 PVも当然嬉しいのですが、ブクマ件数が増えるということはまた読みたい。

 と思ってくれた方が1人でも増えたのだと勝手に思っていますのでよりいっそう励みになります。




 次回予告

 次回ジェリドは外で本を読もうとするが寝不足の為かすぐに寝てしまいます。

 そして顔を舐められる不快感から目を覚ますとそこには犬が……。

 とっても抱き心地が良くてまた寝てしまうのですがそこに現れたのは……



 次回

【メイド長……あれなぁに?】をお楽しみください。


 次回投稿は1/26の07:00

【メイド長……あれなぁに?】です。

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『嫁がダメなら娘になるわ! 最強親子の物語』下記のリンクから読めます。自信作ですのでこちらもぜひお願いします

https://t.co/OdPYRvFC5n

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