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第九話 エルフ公国への進軍2

 世界樹が失われたその意味が示すものは、すなわちエルフ公国の失墜。

2000年の歴史を誇るエルフの聖地が堕ちた日である。


 その事実に大森林に住まう全てのエルフ達に衝撃を与えた。

エルフ達にとって世界樹は誇りであり、一族の心理的支柱だった。


 パイモンの渾身の一撃がエルフ公国守備隊に放たれた。

地面に穿つ拳。パイモンの膨大な魔力が込められたその一撃が衝撃波を伴い砂塵を巻き上げ襲う。

エルフ公国守備隊の数は15000その3分の1が消えた。


 4帝の桁違いの力を目の当たりにして、エルフ達は言葉を失う。

中には逃げ出す兵士も見えた。

そこに誇り高き戦士の姿はなく、魔王軍の怒涛の攻撃に驚き慄いている。


 彼らのすがる世界樹の加護はもうない。

加護のないエルフ公国守備隊など烏合の衆と変りはなかった。

すでに魔王軍の敵ではない。


 魔王軍のエルフ公国侵攻から3時間。

すでに魔王軍よって長老会が制圧されていた。

エルフ公国側の無条件降伏でこの戦いは終結した。


 竜王の協力で無事に世界樹を落とし終えた俺は、魔王軍と合流する。

長老会議事堂へ向かうと、ハイエルフの長老達が集められていた。


 長老達は議事堂内広場の一角に集められ、それを取り囲むように魔王軍の兵が配置されている。

魔王及び、魔王最高幹部が対面する。



「お前が代表か」



 アモンがハイエルフの一人の長老になげかける。

少女の見かけからは想像できないような威圧感のある声だ。

その声に当てられた長老会の代表は態度がさらに小さくなる。



「はい。私が会の代表を務めています」



 長老会の代表が発する声は今にも消え入りそうなほど弱弱しかった。

アモンが一歩踏み出して書面を広げる。



「では、こちらの要求を提示する条件は――――」




 

 魔王軍がエルフ公国への要求したものは二つ。



 一つ。

 

 エルフ公国は以後、魔王軍の支配下に置かれること。



 一つ。


 エルフ族の氏族である、ステラの名誉剥奪及び追放。

以後、彼の者に与した者は国賊とする。




「異議はないか?」



「ありません」



 場所を議事室に移し、調印の準備が進められた。



「では、書面に調印を」



 アモンの掛け声で 魔王最高司令官のマリアと長老会の代表のハイエルフが調印が始まった。

それを俺たちは見守る。


 滞りなく調印は終わり、議事室を後にする。

これからは占領軍による戦後処理だ。


 エルフ公国にはバアル軍の一部が常駐することになった。

バアル軍副官がその指揮を執る。



「勇者殿、世界樹を本当に切り落としてしまうとは。いやはや、さすがと言ったところです」



 バアルが苦笑いを浮かべる。



「竜王が手を貸してくれたおかげさ」



「ガッハハ、あの竜王が手を貸すなんてのぅ。どんな手品を使ったんだ?ハッハハ」



 パイモンが笑いながら俺の背を叩く。

常人なら粉砕骨折してしまいそうな衝撃だ。


 そう、竜王の加護がなければ世界樹を護る結界を破って近づくことはできなかった。

世界樹を切り落とすことが出来なければ加護の力で強力になった兵によって大幅に時間がかかっていただろう。


 言ってしまえば、世界樹さえ何とかしてしまえば脆いと言ってもいい。

それこそが、今回の付け狙う隙というわけだ。









◇◆◇







 ―――魔王城。


 王座の間に、俺とマリア、4帝が集まる。



「みんなお疲れさま!」



 マリアの労いの言葉に他の幹部が傅く。



「「「はっ」」」



「マコトが世界樹を切っちゃう姿かっこよかったよー」



 マリアがニコニコとした笑顔を浮かべる。



「ありがとう」



 マリアの頭に手を置き、優しく撫でた。

嬉しそうにするマリア。



「ところで勇者さま。エルフ公国を落とした真意を教えください」


 マモンがいたずらっ子のような笑みで投げかけてくる。

俺も口角をあげる。



「それは――――――」


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