第三十六話 最終話
「やっ、やめろぉおおおおおおおっ――っ!!」
断末魔のような、ロスティニア王の声が響き渡った。
そして、許しを請うが如く地面に伏す。
地面に自身の頬を押しつけ、ブクブクと泡を吹き出し、その目には光など消えうせていた。
廃人の様相に、一瞥をくれる。
「もういい……コレを連れて行け」
近くにいた兵に指示を出すと、ロスティニア王……いや、元ロスティニア王は魔王軍の兵によって、引きずられるように連れて行かれた。
待つ先は、絶望を越えるナニカだろう。
「勇者様、ご報告が」
魔王軍の将官と思われる兵が声をかけてきた。
「どうした?」
「これが発見されましたので、ご報告にあがりました」
そう言うと、一つの樽が差し出される。
蓋のされていない、樽を覗き見ると、
その中には、すでに息絶えたライラが入れられていた。
王城の崩壊に巻き込まれたのか……、そうではないな。
これは明らかに、暴行を受けた傷だ。
あの混乱の中で、何処の誰だかにやられたのだろう。
しかし、今となってはもう、どうでもいいことだ。
すでに、俺の目的は達せられている。
これは、そのオマケに過ぎない。
「さて、これにも役に立ってもらおうか」
「と、言いますと?」
そばにいたマモンが、声をあげる。
「親子は、共にいないとな」
と言うと、マモンはくつくつと笑い声を漏らす。
こんな笑いをする時は、大抵が機嫌の良い時だ。
「勇者様もお人が悪い」
後は、マモン達に任せておけば良いだろう。
これで俺の復讐は終わった。
あとは――
「続けて、ご報告申し上げます。アスラ王国ならびに、ルフィア教国が魔王軍に対して宣戦布告がなされました」
やはり、この世界は良く出来ている。
少しだって俺を、そっとしておく気はないらしい。
「マリア、大丈夫か?」
「うん、いつでもいけるよっ」
マリアの瞳を見て、頷く。
そして、マリアの指が俺の指に重なる。
「全軍に通達、魔王軍はこれを迎え撃つぞ!」
俺がそう宣言すると、魔王軍は地響きのような咆哮をあげる。
アスラ王国だか、ルフィア教国だか知らないが。
ロスティア王国との戦争で、魔王軍は疲弊していると思っているらしい。
これを機に、目障りな魔王軍を潰してしまおうとしているのだろう。
ならば、来るというなら、来ればいい。
上等だ! ぶっ潰してやるよ!
最終話まで読んでいただき、ありがとうございました。
無事に完結することが出来て嬉しく思います。
ご愛読、本当にありがとうございました!
『現実世界にダンジョン出現!? ~28歳フリーターは攻略を目指す~』
新連載、始めました。どうぞ、よろしくお願いします。
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