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第十三話 代表領主の男

「むぅーーー」


 マリアが頬を膨らませ、腹を突っついてくる。


「ん、どうした?」


「・・・・・・さっきの子、マコトが飼うの?」


 どうやら先程のやりとりを見て嫉妬しているみたいだ。

膨らんだ頬を指で押す、「ブッブー」と音を鳴らせて空気が抜けた。

ちょっとおもしろい。


「俺が飼う(・・)わけじゃないから、大丈夫だよ」


 安心させるように笑顔で答える。


「むぅ」


 マリアのご機嫌がまだ直らないようなので頭を軽く撫でておくとしよう。

一人の兵が俺たちの前で傅く。


「魔王様、セイレン国の代表領主が謁見を求めています」


 マリアが兵士の報告を聞いて、目で合図を送ってくる。

俺はそれに頷いて答えた。


「よい、そいつを連れてこい」


「はっ」





 目の前に連れて来られた代表領主は髪に白髪が目立つ40代を過ぎた色黒な偉丈夫の男だった。

代表領主の男はマリアの前まで来ると跪いた。


「セイレン国の代表領主をしています、バラモア・ステインです。魔王陛下」


「で、何の用だ?」


 マリアが冷徹な目でバラモアを見据える。

目線を受けたバラモアが少し体を震わせた。



「・・・・・・陛下はこのセイレン国をどうするおつもりですか?」


「ロスティニア王国への通路に邪魔だったから落したまでだ」


マリアが代表領主の疑問をスッパリと切り捨てる。


「・・・・・・! そんなことで我が国を攻撃したと言うのですか!」


 バラモアの顔に怒りが浮かび、握り締めた拳が震える。


「お前達の国は中立を謡っているが、詰まるところどちらにもつかないだけでどちらの(・・・・)味方でもないとうことだ。どちらからも攻められる覚悟を持て!」


「ぐっ・・・・・・」


 ちなみに今の話は俺の受け売りだ。


 バラモアは怒りをあらわにする。ワナワナと体を怒りで震わし、腰に隠していた短剣を抜きマリアに向ける。

その瞬間、俺の剣がバラモアの首を両断した。


 首は空を舞い、そして地面に落ち、頭を失った体は力なくその場に崩れた。


 まぁ、俺が動かなくても同じだろう。

魔王をそんな短剣で殺せるはずもない。

ましてや、素人同然の奴が扱えば結果は火を見るよりも明らかだ。





魔王軍はセレイン国に3日ほど駐留することになった。

ロスティニア王国までの道のりを考えると軍の休息は必要不可欠だ。

それであれば、駐留しやすいセレイン国でとるのが効率の良い。


 俺は一人、ステラがいる場所まで来た。

首輪から伸びた鎖が杭に無造作に繋がれている。

先ほどよりも汚れた姿を見るに、()を与えられたっことがわかる。

人の気配を感じたステラはビクッと震わし、怯えた様子で目を合わせないように下を向いたままだ。


 持ってきた食事が載った皿を目の前に置く。

置かれた食事に驚いたステラは、皿と俺に何度も目線を移動させた。

俺が食べるようにしぐさで促すと、媚びた笑いを浮かべ、よほど空腹だったのか一心不乱犬喰いを始める。


 その様子をしばらく眺め、その場を立ち上がった。

俺と入れ違いになる形で兵達のの影がステラへ向かった。


 そう()の時間が始まるのだ。


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