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第9話:ハチミツベアー

第9話です。

よろしくお願いします。

 ハチミツベアーとは名前の通りハチミツ好きな熊だが、普通の熊とは違って珍妙な姿をしている。 鋭い目つき、肉を食いちぎるために必要な鋭い歯、敵を掴むために必要な爪など普通の熊にはあるものが、ハチミツベアーには一切ないのである。


 ハチミツベアーは、体長1メートル程の小柄な熊で、3頭身である。目は真ん丸で、歯は草食動物の歯である。さらに手は熱い鍋を持つために必要な鍋つかみのようになっている。またハチミツベアーは人間のように二足歩行でしか歩けない。まさしくその姿はデフォルメされた熊のぬいぐるみであった。

 なぜ、ハチミツベアーの説明をしているかというと、それは今日の昼までさかのぼる。――――――――――――――――――――――――――――――


 アイリスがいつも通りに起き朝食を食べ、コッコの卵を物々交換して来て、今日の昼食は白パンに果物を挟んでハチミツをかけて食べようと思いキッチンに入った時である。デフォルメされた熊がハチミツの蓋を開け食べていた。 


「熊だ〜〜!!!!!!!」


 アイリスはいきなりの事に大声を出してしまった。


「アイリス!大丈夫か!?」


 アイリスの叫び声を聞き隣の家のキルギスが剣を持って駆け込んできた。その騒ぎにも動じずに、ハチミツベアーはハチミツを食べている。 キルギスがアイリスの安否を確認し、アイリスの無事が分かると、アイリスが見つめている物に目を向ける。


「ハ、ハ、ハチミツベアーだと!アイリス、ここから動くんではないぞ!!」

「う、うん、わかった。でもキルギスさんは、あの熊が何か知ってるの?そもそもこの村には結界が張られてて中には入れないんじゃ?」

「説明は後でするわい。少しここで待っていてくれ。後、ハチミツベアーには触れるなよ!」


 アイリスにそう言ったキルギスはアイリスの家を出ていくと、大声で叫んだ。


「ハチミツベアーがアイリスの家に出たぞ〜!!!!!」


 キルギスの大声に反応して、村人が次々と表に出てくる。


「何だって!本当に出たのか!?こうしちゃいられない!!」

「やったわ!!1度でいいから食べて見たかったの!」

「お〜し、全員ハチミツ持ってアイリスちゃんの家に集合だ!!」


 村人達は興奮しながらハチミツを持ってアイリスの家に集合する。


「アイリス、家の中にハチミツ置かせて貰うぞい」


 キルギスは自分も家から持ってきたハチミツをキッチンから入り口に誘き寄せるように1m感覚で置いていく。入り口の前には村人が持ってきたハチミツの入ったビンが70個程置かれていた。


「クマッ。クマクマクマ〜」


 ハチミツベアーがアイリスの家のハチミツを食べ終わると、入り口まで続くように置いてあるハチミツに気づき嬉しそうな声をあげる。


「アイリス、入り口まで行くぞい」

「キルギスさん、あの熊なんなの?」


 このキルギスと言う老人はアイリスの隣に住んでおり、アイリスはお爺ちゃんの様に慕っている。ギルドランクはSのスーパーお爺ちゃんである。


「あの熊は1年に1度現れるハチミツベアーといい、魔物ではないのじゃ。精霊であり精霊ではないとも言われておるが、この村の結界は、魔物はもとより余程な高位精霊でなければ通り抜けられんように作られておる。ということは、ハチミツベアーは余程な高位精霊か魔物でも精霊でもない何かということになるの・・・」

「謎なんだね。それで何でハチミツを食べてるの?」

「それはな、ハチミツベアーがハチミツしか食べないからじゃ。しかも人の家に勝手に入って食べるのじゃ。それだけなら迷惑な奴じゃが、ハチミツベアーはハチミツを貰った家に、いつの間にかハチミツを置いていくのじゃ。それも最高級のハチミツをな。なぜ、普通のハチミツを食べて最高級のハチミツを置いていくのかは解明されていない。まさしく謎の生物なんじゃよ。アイリスは運が良かったの。ハチミツベアーの置いていくハチミツは本当に美味しいらしいぞ。村人がハチミツをたくさん持ってきたからお返しのハチミツもたくさんあるはずじゃ。数日の内にハチミツが置いてあるはずだから儂にも分けてくれな」

「うん、もちろんだよ。村のみんなにも分けるから手伝ってね」


 アイリスとキルギスが話している間もハチミツベアーは村人が持ってきたハチミツを次々と食べていく。

 結局、村人が持ってきた70個のハチミツを1時間かけて食べた。


「クマクマ〜。クマ〜。クッマクマ」


 ハチミツベアーは大量のハチミツに満足して、段々と消えるように薄くなっていく。


「ハチミツベアーさん、良かったらまた来てね」


 アイリスが手を振りながら別れの言葉を言うと、ハチミツベアーは完全に消えた。


 後日、アイリスの家の前にハチミツベアーが食べたハチミツの倍である、140個程のハチミツが置かれていた。



 ハチミツベアー。その熊は1年に1度現れ、最高級のハチミツをくれる熊である。だが、幸運も一緒に運んでくる事は知られていない。

飲み物とタオルが手放せない日が続いてますね。

何か涼しくなる様な方法を知っている方は教えてください。


さて、次話からシリアスとほのぼのが半々になるかと思いますがよろしくお願いします。

次話は明日投稿します。



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