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第2話:この村の異常性

会話で個人の違いを出すのが難しい・・・

「ようこそ、モンスター牧場へ!店主のアイリスと言います。ご用件はなんですか?」


アイリスと名乗った女性が僕に聞いてきた。


「えっと、馬車を引くための馬が欲しいんですけど、あっ、これ紹介状です」

「はい、分かりました。それじゃ紹介状を見させて頂きますね」


そう言って、アイリスはユーリから紹介状を受けとると読み始める。


「ふむふむ、なるほど。アースさんの息子さんですか。そう言えば私と同じ年の息子さんがいて、今度行商に出すから馬を用意してくれと仰っていましたね。ご用件は分かりました。それじゃ今からご案内しようと思いますが大丈夫ですか?」

「すいません、村についてすぐこの店に来たので、商業ギルドと冒険者ギルドに先に行かせて貰っても良いでしょうか?」

「あ〜なるほど。分かりました。どうせ案内するのに冒険者ギルドには行かなきゃ行けないので途中で商業ギルドに寄りましょう」

「お願いします」


ユーリ達は、なぜ馬を買うための案内に冒険者ギルドに行かなければいけないのかと思うが、行けば分かるかと思い取り敢えず頷いた。店を出て改めて辺りを見渡すと30戸程の家が建っているのが見える。この村の近辺一帯は木が斬り倒され、小さいながらも畑や田んぼが見える。さらに鍛冶屋、武器屋、防具屋、薬屋もあり肉屋、魚屋、八百屋などもある。この光景を見たユーリ達は不思議に思った。


「アイリスさん、この村は小さい村なのにお店が充実してますね」「そうですね。この村はちょっと特殊ですからね」

「特殊?どういうことだ」

「ん〜それは私からは言えないですね」

「言えないってなんでですの?」「そう言う約束事ですから」

「約束って誰と?」


ユーリ達4人からの質問にどう答えようか困っているアイリスを見かねてマスターが助け船を出す。


「まぁまぁ、アイリスちゃんが困ってるからそのくらいにしとけ。説明は商業ギルドと冒険者ギルドに着いたら説明して貰えるさ」


マスターにそう言われてユーリ達はアイリスの申し訳なさそうな姿を見ると何も言えない。商人なら相手の事を良く見て行動を取らなければならない。相手に敵や面倒くさい相手と思われたら商売に成らないからだ。本当ならマスターに言われる前にユーリが気づかなければならないのだが、まだまだ半人前ということだろう。最もまだ店を持っていないユーリなので当然と言えば当然である。そう言う事を含めて勉強するための行商修行なのだ。

若干気まずい雰囲気になってしまいどうしようかとユーリ達が悩んでいる内に商業ギルドと冒険者ギルドに着いてしまった。


「商業ギルドと冒険者ギルドに着きましたよ」


アイリスの言葉にユーリ達が顔を上げると商業ギルドと冒険者ギルドは並んで建っていた。だが商業ギルドと冒険者ギルドの大きさが違った。商業ギルドはこの村にある普通の家の大きさなのだが、冒険者ギルドは商業ギルドの5倍はある。さらに、まだ拡張工事をしているのか建築途中の梁まで見え、材木が積まれている場所もある。


「冒険者ギルドでか!王都より少し小さい位じゃないか?」

「なんでこんな小さい村にこんな大きい冒険者ギルドがあるの?」「そうですね・・・なぜでしょう?」


ライリー、ミユ、ネルの3人は揃って首を捻っていた 。対してユーリは、


「商業ギルドは小さいですね・・・」


1人だけ寂しそうに呟いていた。

「それじゃ、ユーリは商業ギルドにライリー、ミユ、ネルの3人は冒険者ギルドに報告してこい。ユーリは俺が付いて行くから、ライリー、ミユ、ネルの3人にはアイリスが付いていけ」


マスターの言葉にそれぞれ返事を返し別々に動き出した。



商業ギルドside

「う〜す、アニーいるか〜」


マスターが気軽に呼び掛けながらギルドに入るのに続いてユーリも入る。


「失礼します」

「あら、マスターじゃない。何か用?」

「おう、こいつの付き添いでな。こいつはアースの息子でユーリって言うんだ。ハルベルト家の家訓にある10年の行商修行に今年から出発するんだってよ。それでアースがアイリスの所に馬を買わせるために寄越したんだ」

「へぇ〜この子がアースの息子なんだ。よろしくねユーリ君。私はこの村の商業ギルドのマスターでアニーっていうの」


そう言って笑いかけるアニーと言う女性は髪は青色で瞳は赤色、身長175㎝程あり、出る所は出て絞まる所は絞まっている。所謂ボンキュッボンだ。


「ユーリと言います。アニーさん、こちらこそよろしくお願いします」

「それじゃユーリ君商業ギルドのカードを貸してくれる」

「はい、分かりました」


そう言ってユーリは白いカードをアニーに差し出す。アニーはそれを受けとると2つ並んだ左側にある丸い水晶にカードを突き刺すようにすると、水晶にカードが吸い込まれていく。5秒程発つとカードが水晶からでてきた。「はい、これで登録完了。まだ白だから、これから頑張ってね」


ここで少しだけ商業ギルドカードの説明をすると商業ギルドカードは、商業ギルドへの貢献具合で色が変わる。白から始まり、青、黄、緑、赤、銀、金と変わっていき最終的には黒になる。ユーリの商業ギルドカードは白なので一番下だ。


「この前作ったばかりなので、これから頑張ります」


そう言いながらアニーから商業ギルドカードを受け取りながらアイリスと話しといた内容を思い出していた。


「そう言えばアニーさん、先程アイリスさんがこの町は特殊と言っていたんですが、何で特殊なんです?マスターから商業ギルドで聞けるって聞いたんですが・・・」「そうね、アースさんの息子さんだし、アイリスちゃんの所で買うなら説明しないとね。ユーリ君、この村はね・・・」

「はい、この村は・・・ゴクリ」


アニーさんの真面目な顔付きに何を言われるんだとユーリは緊張し唾を飲む。


「あっ、その前にこの秘密を漏らしたりした場合は相応の罰が与えられるっていう魔法契約書にサインしなきゃいけないんだけど、それでも聞きたい?」

「魔法契約書ですか?」

「えぇ、魔法契約書よ。それも神級魔法契約書よ」

「えぇ、神級魔法契約書!?」


ユーリは神級魔法契約書と聞いて驚きを隠せない。ここで神級というのは魔法の強さである。下級、中級、上級、最上級、神級の順で強くなる。神級とは読んで字の如く神である。この世界には神がおり他の神級魔法とは違い、神級魔法契約書は神との契約である。この神級魔法契約書にサインをし契約した者が約束事を破るとその先に待つのは死である。それも只の死ではない。その者に連なる血筋全員の死だ。つまり一族全員の死。ユーリの場合ハルベルト家や遠い先祖に兄弟がいた場合、その先祖がハルベルト家を継いでいなくともその末裔まで全員死ぬのである。遠い祖先の末裔とは、もはや赤の他人である。そんな者まで引き連れての死。最悪である。それほど神級魔法契約書とは重大な契約書なのだ。そんな契約書にサインしなければならない程の秘密とは一体何なのか?ユーリは聞いていいのかどうか迷った。当然である。



冒険者side

「トーマスさんいますか〜?」


冒険者ギルドにアイリスはライリー、ミユ、ネルの3人を引き連れてはいる。


「よお、アイリスちゃん。今日も触れ合いに行くのかい?」

「こんにちはトーマスさん。今日も行きますけど、その前にお仕事です」


アイリスと話すトーマスと言う男はがっしりとした体格で、綿で作られたタンクトップを着ていた。腕には所々に傷があり、身長190㎝いかにも冒険者といった風貌である。


「仕事ってことはそっちの3人が客かい?俺はトーマスってもんだ。ここのギルドマスターだ。よろしくな!!」


にかっと無駄に白い歯を見せ握手を求めるトーマス。


「ラ、ライリーです」

「ミ、ミユです」

「ネ、ネルです」


トーマスの無駄な迫力のせいで、3人共に吃りながら答えてしまう。そんな事に気づかないトーマスはギルドカードを出せと言い、3人からギルドカードを奪い取る


「アイリスちゃん、今回の客はこの3人かい?」


トーマスが商業ギルドにある物と同じような水晶の左側に3人の冒険者ギルドカードを突き刺しながらアイリスに聞いてきた。


「いえ、今回のお客さんは今、商業ギルドの方に行ってます。ライリーさん達は護衛の方達です。アースさんの息子さんが今回のお客さんです」

「アースの息子か!お前達はどんな関係なんだ?」


トーマスは3人に聞く。


「俺達はガキの頃からの幼馴染みなんだ」

「それでハルベルト家の家訓に従って行商修行に出るっていうから」

「私達が冒険者になって付いていく事にしたんですの」


ライリー、ミユ、ネルの答えを聞き、


「あぁ、あれな。まぁアースの息子を死なせない程度に頑張れよ」

そう言いながらトーマスは3人に冒険者ギルドカードを返す。そのカードにはCランクの文字が書かれていた。冒険者ギルドカードにはG、F、E、D、C、B、A、S、SS、SSSの10ランクで別れておりライリー達のCランクは中堅である。ライリー達はユーリが行商修行に行く事を幼い時から知っており、早めに冒険者ギルドに登録。王都の中の手伝いをしつつランクを上げ、魔物退治が出来る年になると魔物を倒しランクを上げた。そのため中堅のCランクなのだ。

「もちろん、ユーリを死なせる気はないさ。ユーリは大切な仲間だからな。そうだろ?ミユ、ネル?」

「そうね」

「もちろんですわ」


トーマスはその言葉を聞き満足気に頷く。


「じゃ、登録も終わったしユーリを迎えに行こうぜ」


ライリーはさっさと商業ギルドに行こうとするが、それをミユが引き留める。


「ちょっと待ちなさいよライリー。この村の何が特殊なのか教えともらわないと!!」

「そうですよ、さっきマスターさんに言われたばかりではないですか。相変わらずですわねライリーは・・・」


ライリーはミユとちょっと馬鹿にした感じのネルの言葉に立ち止まり、


「そう言えばそうだったな。トーマスさん教えてくれよ!」


その言葉にトーマスは商業ギルドのアニーと大体同じような事を3人に伝えた。


「「「えぇぇ〜〜神級魔法契約書!!!」」」


3人共にユーリと同じように驚く。


「マジか!ミユ、ネルどうする?」

「商業ギルドにいるユーリの所に行きましょう。これはみんなで考えないと」

「そうですね。ユーリも聞いているでしょうし」


結論付けた3人は、トーマスとアイリスを置き去りにして商業ギルドへ駆け込んだ。

商業ギルドと冒険者ギルドの説明が簡単すぎますがこの物語ではあまり関わらないので詳しくは書きません。

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