第14話:精霊
1000字程度とかなり短いですがあげます。
イズールドには火・風・土・水・闇・光を司る精霊が存在し、精霊の中にも階級が存在する。
下級精霊・中級精霊・上級精霊と階級があがり、大精霊が1人ずつ各属性ごとに存在している。
さらに6人の精霊を纏める精霊王が存在し、精霊王を頂点としてピラミッド型の力関係が成立している。
かといって精霊同士の仲が悪いというわけでもなく、精霊自体が自由気ままな性格なので余程な悪さをしなければ上位の精霊から折檻を受けることもない。
なぜ精霊の話をしたかと言うと、アイリスが生まれたすぐ後のことにさかのぼる。
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アイリスが産まれてから3日目の昼間のことである。
イルミナとアイリスは同じベッドに横になっていたがイルミナは産後の疲れで眠っており、アイリスだけが目を覚ましていた。
そのアイリスのまわりにそれぞれが赤色・茶色・水色・緑色・黒色・白色に淡く光る5㎝程の球体が浮いていた。
色からわかるようにこの球体は各属性の大精霊達であった。
「あぅ?あっあ〜!」
アイリスは産まれたばかりなので色や形などははっきりと識別は出来ないが、そこに何かが有るらしいことを何となく感じて声をあげる。
『ふむ。かわいいのぉ』
『目が見えないわりに何かを感じ取っているのだろう』
茶色の玉と黒色の玉が明滅する。
『それより母親の目が覚める前に用事をすませましょう』
『そうだな。またアイリスの前に現れることもあるし楽しみはその時にとっておこう』
今度は白色と緑色の玉が明滅する。
『そうですね。それじゃ火からおねがいします』
『おっしゃ!任せとけ!!』
今度は水色と赤色の玉が明滅し、そのあと赤色の玉が強めに光る。
それに続き茶色・水色・緑色・黒色・白色の玉が順々に強く光り、最後に白色の玉が明滅する。
『それではアイリス、私達は行きます。あなたが3歳を迎えた時今度は精霊王があなたの前に姿を現しますのでそれまで健やかに大きくなってください』
白色の玉の明滅が終わると6つの球体はその場から消える。
「あぅあっ?あ〜あっ、あ〜!」
アイリスは身体に何かが流れ込んでくる様に感じ声をあげる。
そのアイリスの声を聞きイルミナが目をさます。
「あらあら、どうしたのアイリス?」
「あ〜あぅ!」
「ミルクもさっきあげたところだし、おねしょでもなさそうね。よしよし良い子だから寝ましょうね」
イルミナに胸をトントンと一定のリズムで叩かれたアイリスは、最初は何かを訴えようとしていたが所詮は産まれたばかりの赤ちゃんなのですぐに眠ってしまう。
「あなたは過酷な運命を背負ってしまったわ。だけど、あなた1人だけにその重荷を背負わせたりはしない。私達が一緒に背負うから頑張りましょうね」
スヤスヤと眠るアイリスの頭を撫でながらイルミナは決意を固めていた。
次話も明日あげれる予定です。