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3話 ヤンキーと金属バット

で、後日無事に引越しを終え僕は本日ついに初めてのお仕事バイトに赴くべく管理人室の前まで来ている。

管理人さん曰くアパートの地下のゴミ掃除が主な仕事になり、処分したゴミの量によってその日のお給金が決まる所為歩合制のお仕事らしい。初めてのバイトなので完全時給制の方が安心できるのだが、管理人さんが言うには基本給で時給1000円にも設定出来るのだけれど、それよりも歩合制の方がかなり儲かるらしい。

で事前準備として

1)動きやすい格好※サンダル不可

2)出来るだけ丈夫な防具

3)使いなれた得物?

上記を持参するように言われている。って使いなれた得物って言うのがいまいちよく解らないので取り合えずキャンプの為に買った「十得ナイフライト付き」をポケットに仕舞っている。

あとは趣味で山に釣りに行く時の厚手のジーンズに登山ブーツ、上着はハードシェルタイプの迷彩柄のマウンテンパーカー。あとは仕事に対するやる気アピールの為に頭にバンダナ風に黒いタオルを巻いている。

インターホンを押すとすぐに管理人さんが出てきて僕の格好を見るなり

「中村さん。得物は無くっても大丈夫・・って中村さんは空手の達人でしたから得物はいらないんですね?流石です。」

と微笑まれてしまい

「もちろんです」

とこれまた良心を削られながらも会心の笑みを返す。

「それではいきましょうか。」


管理人さんに連れられて専用の地下1階へと続くエレベーターに乗り込み若干エレベーターの閉鎖空間に美人と二人きりという状況で心拍数を上げながらも地下質へと到着する。

するとそこはアパート部分とは大きく違いまるでホテルのロビーのように真っ赤なカーペットの敷かれた広い空間に、飲食店、コンビニ、などのお店が幾つか立ち並んでいる。よく見ると看板に「武器防具屋」や「道具屋」「買取屋」など見慣れない看板も幾つか見受けられる。

「管理人さん、この空間は一体何ですか??」

戸惑いつつも管理人さんに尋ねると

「福利厚生の施設になります。ではさっそくあちらの大きな扉から職場に向かって初めてのお仕事(ゴミ掃除)頑張ってきてくださいね」

「はい!!」

美しすぎる笑顔に色々聞きたい事があったのだけれど全て忘れて返事をしてしまった。

「あ、言い忘れましたがあちらのドアは指紋認証にて開閉しますのでくれぐれも右腕をなくさないように気をつけてください。また中で既に何人かの先輩アルバイトさん達が働いていますので、出会ったら元気に挨拶してくださいね。」

って、えぇ?右腕なくすような事もあるゴミ掃除っていったい・・・

あ!僕の緊張をほぐす為の管理人さんなりの冗談かな?

そんな事を考えていると目の前のひと際大きなドアが勝手に開き、中から金属バットを肩に担いでまっ白な特攻服を着た金髪リーゼントの絶滅危惧種レベルの不良ヤンキーが出てきた。

「石黒様本日もご苦労様です」

管理人さんがお辞儀をすると

「うっす。」

一声だけ返すとヤンキーはすぐに僕に目線を合わせる、いや凄い勢いで睨んでくる。

「んだてめぇ見ねぇ顔だな」

「は、はじめまして、な、中村と言います。ほ、本日からバイトを始め・・」

「てめぇ得物はどうした!!」

僕の自己紹介の途中でヤンキーが突然怒鳴る。

反射的にポケットのナイフを取り出しヤンキーの前に差し出すと

「てっめぇ!ぶっ殺されてぇのか!!」

怒鳴りながらナイフを持つ右手をはたき落とし即座に襟首を閉められる。

意味は解らないがとりあえず超怖いんですけど・・・・・

しばらくブラブラと涙目のまま締まられた後、当然解放され

「チッ!しょうがねぇ。オラ」

左手で持っていた金属バットを僕に渡すとそのままエレベーターに乗ってヤンキーは去って行った。

もう既にテンションはドン引きでバイトどころでは無いのだけれど、ずっと隣で笑顔で成り行きを見守っていた管理人さんの手前帰宅する事も出来ずに僕はドアの前の指紋認証に手を触れて初めての仕事に向かった。



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