第七話 勇者、覚醒する!
「魔王さん、一緒にお散歩しましょう!」
デスクの前の魔王は顔を上げる。
「いつのまにかこの部屋に入ってきたんだ?」
「魔王さん忙しそうなんで邪魔にならないように、静かに入ってきました。」
…。魔王はため息をつく。
勇者教育計画の作成は一時中断だ。
「貴様は監視対象だからな。しょうがない、お散歩に付き合ってやろうではないか!」
魔王城の外は、快晴。
魔物たちは気の抜けた顔で、ふらふら街を歩いてある。
「これは流石にまずいのでは?」
魔王は思いながら、勇者が逃げないように隣を歩く。
「魔王さん、あっちに美味しそうなドーナツ屋さんがあります。」
勇者が駆け出す。
慌てて後を追う魔王。
「ちょっと待て、どんだけ足が速いんだ。」
勇者はだいぶ先まで走っている。魔王はなかなか追いつけない。
突然、勇者の前に犬が飛び出してきた。
勇者はよけきれす、犬に激突!
「大丈夫か?」
駆け寄る魔王。
「うぇ〜ん。」
大泣きする勇者。
「ワンちゃんに怪我をさせたかもしれない、ごめんなさ〜い。」
だんだん勇者の鳴き声が大きくなる…。
「勇者、大丈夫だ。犬はピンピンしてるぞ。」
クゥ〜ン。
犬も勇者を心配している。
勇者はまだ泣き止まない。泣き声がどんどん大きくなっていく…。
ピシッ、パシッ近くの建物にヒビが入っている!
「ゆ、勇者よもうかなくて良いのだぞ!」
魔王が慰めるが泣き止まない。
バリバリバリバリ!
なんと地面に亀裂が入った。
近くの建物は半壊している。
そして、亀裂に飲み込まれていく魔物たち。
勇者は
『ギャン泣き』
を覚えた。
「そうか、ドーナツだな。ドーナツが食べたいんだな!」
「…うん。」
勇者がうなづく。
「よし、お姉さんが買ってあげるから泣き止むんだぞ。」
「わかった。でも足が痛くて歩けないよ。」
渋々、勇者をおんぶする魔王。
さて、勇者をどう扱ったもんか…。このままでは、魔界が崩壊してしまう。
魔王の苦悩の日々は続く。




