第二話 なんかおかしくない?
魔王はデスクの前で頭を抱えていた。
「せっかく作った世界征服計画が徹夜で作り直しかぁ…。」
あの少年が来て、なぜか世界征服予定表が白紙になってしまった。
「早く作り直さないと、大魔王様に怒られる。」
脇目も振らずに、書類に夢中の魔王。
コンコンと控えめにドアをノックする音。
魔王はビクッとする。
「誰だ!」
「こんにちは、魔王さん。おやつの時間ですよ。」
勇者はお菓子の包みを差し出す。
「なんでさん付けなんだ?」
「年上のお姉さんには、さん付けしろっておばあちゃんに言われました!」
「そうか、偉いねぇ。」
思わずニコニコの魔王。
「いや、偉いねぇじゃないわっ!」
「貴様、勇者だろっ。魔王を倒しに来たんだろ!」
「はい。おばあちゃんにそう言われました!」
「だったら私と戦え!」
「でも、お姉さん悪い人に見えないですよ。」
魔王の頬が緩む。
「剣を抜け!」
「は、はい!」
今日も剣は抜けない…。
「おばあちゃんがすぐ大きくなるからって、大きめの剣を買ってくれたのに…。」
なるほど、頷く魔王。
「そういえば、入り口のところの床に穴が空いてたんで修理しておきました。」
「それは落とし穴トラップだ!」
走って見に行く魔王。
初めから何もなかったかのようにピカピカの床。
慌てて玉座に戻った魔王は、魔王城の設計図を見る。
落とし穴トラップが綺麗さっぱり消えている!
「そんな馬鹿な…。」
「お役に立てました?魔王さん疲れてるみたいなんで、お役に立ててよかったです!」
魔王は大きなため息をつく。
「今日は、もう帰れ…。」
勇者が帰ったあと、魔王はデスクに向かう。
計画書に書いた覚えのない文字が。
「世界征服計画書に赤ペンで文字が書き加えられている。「住民の幸福度マックス計画」なんだこれは!」
魔王は紙をくしゃくしゃに丸めて放り投げた。




