第一話 初めまして、魔王様!
魔界と人間界の戦いが何世紀も続いている世界。
人間界には歴代、神に選ばれた勇者が現れ、この均衡を保っている。
均衡を保つために、今日も勇者を教育することになった――中間管理職の魔王が。
魔界の断崖絶壁に立つ、古城。
その玉座で、魔王は頭を抱えていた。
「世界征服の計画が、全然進まないわ!分刻みで完璧な計画を立てたのに!」
コンコンとドアをノックする音がする。
ガチャリ、ドアが開く。
「はじめまして!」
深々と頭を下げる。10歳ほどの少年。
「お前は、誰だ!」
「勇者です。ふつつかものですが、よろしくお願いします!」
ズレたメガネを直す勇者。
「ここがどこだかわかってるのか?」
「魔王城ですよね。」
「なんで勇者がここにいるんだ?」
「初めてなのでご挨拶に来ました!」
と言ってお菓子の包みを差し出す。
「ご丁寧にありがとうございます。」
お菓子をもらいかけて魔王は我に変える。
「ありがとうじゃないわい!」
魔王は首をかしげる。
「トラップ満載のはずなんだが、なんで無傷なんだ?」
「トラップなんかなかったですよ。アトラクション、いっぱいあって楽しかったです!」
頭を抱える魔王。
「私を倒しに来たんだろう。剣を抜かぬか!」
「そうだった。」
慌てて剣を抜こうとする勇者。
剣が長すぎて抜けない!
笑いたいのを堪える魔王。
「もう良い、今日は帰れ!」
「わかりました!明日もおやつの時間にきます!」
全力ダッシュでドアにぶつかる勇者。
玉座の魔王は深いため息をついた。
「あの子が城に来てから、
“世界征服予定表”が全部白紙になっている……?」




