表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/29

4 上京

 以前、幸子おばさんから聞いた事がある。

 人間って他人を羨んだり憎んだりするし、逆に自分を蔑んだりもするけど、霊能の世界では、その根っこにあるのは「飢え」なのだ、と。

 それは単なる空腹とは違うらしい。

 金銭や物欲。支配したい、陥れたい、殺したい。そういうものの総称が「飢え」だ。

 餓鬼はその飢えに喰らい付き、心を支配する。

 餓鬼が餓鬼を呼び、飢えはより大きなものになっていく。

 それが現代社会では広まりやすくなっているのだそう。


 アタシは地元を離れた。

 大学の授業はそこそこ楽しいし、本庄さんもけっこう良くしてくれている。 

 皇居って閉鎖的なイメージがあって、アタシみたいなパンピーが入れる所じゃないと思っていたけど、実際に行ってみると結構オープンだし一般参賀や観光客もバンバン来ている。

 あそこって、霊的防御のレベルが高いんだけど、人が集まる所なので霊障や呪いを受けやすいみたい。

 だから、アタシの仕事はけっこう多い。

 まあ、その分給料も入ってくるから家賃と生活費の両方を自分で稼げちゃう。

 上京してから2年半が経つ今でもちゃんと大学生活できているのは、悪霊退散の仕事が順調だからだ。


 ギャルはとっくの昔にやめた。

 宮内庁ってハイソな感じだし、大学にもギャルファッションの娘は皆無だから、周りに合わせなきゃと思ったの。

 髪は黒ショートボブ。服装もふわっとしたフェミニンで揃えた。目指したのは清楚なお嬢様系コーデ。

「いいねえ。すごく似合っているよ」

 アタシの姿を見て鼻の下を伸ばす本庄さん。やっぱ男ってこういう女子的な格好が好きな人って多いよね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ