第四十三話 貴族の嫡男
「久しぶりだね、ユウジクン」
授業終わりの教室で話しかけてきたのは、学院の制服を着たサキだった。
一足先にここへ入学した彼女らは、クラスの定員もあって俺とは別のクラスに配属されている。
「ごめんね、ここは全寮制だし色々と忙しいこともあって、あんまり会いに行けなかった」
「いいってことよ。にしてもちっとばかし、ここの授業難しすぎないか?」
「そうね……さっきの数学なんて、何を言っているのか全く分からなかったでしょ?」
俺の頭の中でサキの言葉に疑問が生じた。
「へ? 数学? あれは科学じゃなかったのか?」
「いや、レイジ曰くあれは科学らしいよ」
「どうしてアイツはそんなことがわかるんだよ……」
「『天賦の才』の力で、別言語の勉強の才能みたいなのを開花させたらしいよ」
何でもありだなアイツ……
「それで、ほかの奴らは?」
「久世さんと森野ちゃんは相変わらずだけど、謎のオーラで久世さんは周りに取り巻きの女子たちを引き連れているわね」
既にクラスカーストの上位にいる感じか……
「正直心配なのは悠那ちゃんかしら。元々コミュ障であまり友達が作れていないのはあるけれど、それよりも心配なのは、とあるある男子に目をつけられたみたいで、近頃ストーカーを受けているらしいの」
「なにっ!?」
厄介なことになったな、おい……
まぁいくら対人関係が苦手だとは言っても、高憧はかなりの美人。
日本でもそれが目当てであいつに迫っていった奴は何人かいた。
流石にストーカーまではいってなかったけれど。
あいつのことは後で気にかけておいてやるか……
「ユウジの方はどう? 初日は順調?」
「いいや、なぜかは分からないがさっき早速クラスのある奴に嫌われたよ。えっと……確か名前は――」
「ユービ・サック、ユービ侯爵家の嫡男で……私の婚約者よ」
そういって話を割って入ってきたのは、いつになく暗い表情を浮かべたルナだった。




