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第三十八話 昼と夜が交わる魔法

 あの後俺が宿に戻ると、その宿の目の前でユウジたちとあの性悪王女が俺を待っていた。

「ああ! ちょっと、どこに行っていたのよ!」

 全く……

 朝からこの甲高い声を聞くと頭が痛くなる。

 こっちは徹夜だぞ?

「ちょっと観光に行っていただけだ。別にいいだろ? 俺は学院生じゃないんだし」

「私をこんなに待たせるなんて……まぁいいわ。そのことについてなんだけどね」

「ん……?」

 その後、近くの喫茶店まで移動した後、改めて話の続きをされた。

「この前、私はあなたを学院に入学させないと言ったけれど、やっぱり条件付きで入学を認めることにするわ! 感謝しなさい!」

 なんだろう。

 やっぱりコイツは好きになれない。

「言い方はさておき……その条件ってのは何なんだ?」

 とはいえ、やはり俺も学院に通いたいという気持ちは変わらない。

 どうせ条件の内容はろくでもないことなんだろうが、話くらいは聞いてみてもいいだろう。

「あなた、魔法は使える?」

「使えるわけねぇだろ。だから魔法を使えるようになるために、ここまで来たんだろうが」

「まぁそれはそうよね。使えるわけがないものねぇ」

「そのいちいち頭に来るような態度はどうにかならないのか?」

「今更変えるつもりはないわ」

 そんな皮肉を言い合った後、王女の口から語られたのは。

「あなたの能力は『物事の経験を数千倍にして受け取れる』というものだったわね」

「ああ、多分な」

 俺にそう確認した後、ルナの表情は真剣なものに変わる。

「禁術の研究に協力してほしいの」

「禁術……」

「ええそうよ、禁術。禁術とは法律によってその危険性から使用を認めないものとした魔法。もしくはあまりに構成が難しくて、誰も使うことのできなかった魔法。今回協力してもらうのは後者になるわね」

 なるほど、どうやら話を少し聞いたくらいで、依頼の内容が大変なものだというのは理解した。

「それで? なぜ俺なんだ? さっきお前が言っていた能力を確かに俺は持っているが、なぜ魔法の知識も何もない俺にそんなことを?」

「理由は聞かないで。そして、このことは信頼できる人にしか教えては駄目」

 「いや何でだよ」と口を開こうとした俺だったが、ルナのいつになく真剣な眼差しに圧倒されて、その言葉は喉の奥に引っ込んでしまった。

「まぁいいよ。俺も学院には通いたいし……それくらいはやるさ。それで、その禁術の名は?」

「いい? これは覚悟が必要なことなの。引き返すことはできないわ」

 随分と大袈裟な警告だな。けど……

「覚悟なんて、元の世界へ帰ることを決めた瞬間に決まりきってるさ」

「……そう、ならいいわね。あなたに研究してもらう禁術の名は『イクリプス』。昼と夜が交わる魔法よ」

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