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第三十三話 暗い場所

 さて……

 現在俺たちがいるのはさっきまでのファンタジー感溢れる美しい城下町……ではなく──

「なぁ? なんで俺たちこんなところにいるんだろうな?」

「さ、さぁ……なぜでしょうね……」

「テメェら以外に誰がいるっていいんだ! チクショウ!」

 現在俺たちがいる場所はじめっとしていて冷たくて薄暗くて生臭い、鉄格子と石壁でつくられたいわゆる地下牢である。

 なぜこんな場所に閉じ込められているのかというと、原因は少し前に遡る。


 お嬢と森野が露店の商品を破壊したせいで、店主から弁償を迫られたまではよかった。

 ただお金の単位が国ごとに違うように、世界を跨げばもちろん単位が違う。

 試しに、たまたまこの世界に持ってこられた財布の中に入っていた先月のバイトで貯めた渋沢さんを差し出してみたら。

「こんな紙切れで俺の商品を弁償できると思うなよ!」

 と一蹴され、目の前で店主のおっちゃんに引きちぎられた。

 チクショウ……!

「おいお嬢。俺の渋沢さんは実質お前たちのせいで無惨にも散っていったんだから、元の世界に帰ったらそれ相応のものを弁償しろよ」

「たかが一万円札ではありませんか。それくらいはお友達にジュースを奢るくらいの気持ちで大目に見てください」

「人の労働の結晶をなんて言い方するんだ。一万円ありゃ缶コーヒーが百は買えるわっ!」

 金持ちめ……


 それから俺たちはその冷たい空間で、ひたすらに待たされた。

 最初に事情を一回聞かれただけで、檻の外にいる警備兵はそれから何も話してくれない。

 変化も何もない。

 ただ時々もの凄く味の薄いスープなのかゼリーなのかシリアルなのか分からない緑色の食事が運ばれてくるだけで、とにかく退屈だった。

「……」

「あのー看守さん?」

「……」

「……あのすいません!」

「あの! えっと、俺たちいつまでこのままなんでしょうか?」

「……」

「……もしかして耳が聞こえないのか……? ……バーカ!」

「殺すぞ」

「すんません……」

 それから俺はこの看守で退屈しのぎに遊ぶのをやめた。


     *


 それからまたしばらく経った後。

 もう本当にこの檻から一生出られないんじゃないかと思い始めていた頃。

 突然重たい音と共に鉄の扉が開いた。

「全く……久しぶりに出会えたのはいいけれど、それがまさかこんな場所でとはね」

 扉の向こうから長い白髪をなびかせながら現れたのは、俺たちと同じくらいの年頃で、随分と勝気な喋り方、おまけにこの世界では珍しい翠玉色のラインの入った黒色のブレザー、学生服を身にまとった美少女。

「久しぶりね、サキ。アナタが捕まったと聞いてこのワタシが助けにきてあげたわよ!」

 俺たちの視線がサキに向く。

 そして彼女が放った言葉は。

「えっと……どちら様でしょう?」

「「えっ……?」」

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