第二十二話 ソゲキッ
死にもの狂いで炎を避けつつ、何とか反撃の機会をうかがっている俺たち。
「っ……! やっぱりちょっときついね。ユウジ、経験値は溜まった?」
「いや、溜まったには溜まったが……全ッ然足りてねぇ!」
この間のガルムとの修練で、俺はかなりの経験値を積んだ。
身体能力も前よりかなり上昇したはずだし、レイジも段々と『天賦の才』の扱いに慣れてきている。
「それなのに……」
圧倒的なドラゴンのパワーと炎に俺たちはどうすることもできずにいた。
でも……!
「それでいい……! 俺たちの本当の目的は、あくまでサキのための時間稼ぎだしな」
「でも一体、いつまでこうやって耐え続ければいいんだ……。悪いが、あまり長くはもちそうにないぞ?」
「だよな……」
正直、かなりキツイ。
ほかのメンバーを引きずってでも連れてくればよかったかとも思ったが、こんなヤツ相手じゃ犠牲者が出ていてもおかしくなかったかもしれない。
結果的に正解だったのかもな……
「けぁああッ……!!」
再び繰り出した渾身の一振りも、鋼のように硬い鱗のせいで簡単に弾かれてしまう。
「むやみに攻撃を当てなくていい! どうせ弾かれるだけで、結局通用しない!」
「っ……!」
「二手に分かれよう! 攻撃を分散させるんだ!」
俺はレイジの言う通り、レイジとは違う方向に走っていき、俺とレイジでドラゴンを挟んた。
「よし……。これでこのまま両方向からの攻撃で注意をひいて、しばらく時間を稼げれば――」
だが、やはりそううまくはいかないことが、すぐに分かった。
ドラゴンはその大きな翼を広げ羽ばたいた瞬間、その巨体はすさまじいスピードで上昇し、辺りにものすごい突風を起こした。
吹き飛ばされそうになりながらもなんとかその場に留まり、上空を見上げて俺は絶望した。
ドラゴンは遥か高くの空の上で、俺たちを見下ろしていた。
そして口を再び大きく開き、既に炎を吐く予備動作に入っている。
「ヤバッ……!?」
慌てて辺りを見回してみるも、周囲には炎のブレスを防げる物も手段も見当たらない。
妙案も思いつかない。
「これは……大っピンチだな」
ピンチと言いながらも、もうこの事態を転向させる方法など“一つしかない”ことはわかっていたので、俺は抵抗することはなく、ただただこれからここに降り注がれる赤い炎を見つめた。
「『アルタイルショット』……!」
その時、突然どこからともなく現れた光る何かが、閃光の如くとてつもないスピードで、ドラゴンの弱点である鱗のはがれた左腰から右肩にかけてを貫いた。
そしてその直後、ドラゴンは力が抜けたように羽ばたきを止め、そしてそのまま俺の真上に落下――
は? 俺の真上!?
「おい、ちょっ……!? ちょ待てよ! ちょっと待てぇえええええええええええっ!!」




