第二十一話 吐炎
「「はぁあああああああああっ!!」」
「ギャアアアアアアアア!」
俺とレイジが一斉に飛び上がり、それなりに本気の一撃をドラゴンに加えるも、刃がその硬い鱗を貫くことはなく、俺たちは跳ね返される。
「っ……!? まるで鉄だな」
「サキの言った通り、鱗をまとっている部分に攻撃は通らないみたいだね。ならやっぱり……」
狙うは胴体の左下、鱗がはがれて防御が貧弱な部位……!
「はぁっ……!!」
「ユウジッ……! 危ない!」
一気に懐に入り込もうとした俺をレイジの声が引き留める。
しかし、既に大きく開かれたドラゴンの口からは、灼熱の炎が今まさに吐き出されようとしていた。
「あっ、これは……。マズッ――」
ドラゴンの口からは吐き出された炎のブレスは即座に、そのドラゴンの巨体を上回るまでに大きく広がり、森の木々を飲み込んでいった。
「ケホッ、ケホッ……」
俺は何とか寸前のところで直撃を回避し、ズボンのすそがチリチリになっているだけで、黒焦げにならずに済んでいた。
そして死なずに済んだことに安堵していた俺だったが、後ろを振り返った瞬間に俺は驚愕した。
炎のブレスで焼かれた森は、黒い炭と灰色の灰が残っているだけでもう森と言えるようなものではなかった。
さっき黒焦げになっていたかもしれないと言ったが、消し炭の間違いだったな。
これで改めて分かった。
ドラゴンというのは、ゲームであれば本来ダンジョンの最奥だったり、何かしら重要な場所でボスとして出てくるやつであり、こんな物語序盤で遭遇していいやつではないのである。
まだ俺たちにはスライムかコボルト辺りがお似合いなのだ。
「グルルルル……」
黒い煙が晴れ、あの大きな赤い鱗をまとった巨体が現れ、奴の深紅の瞳と目が合った。
そこから感じた殺気と威圧感によって、俺は一つ思った。
あっ……、これは非常にまずい。
「ユウジ!」
「大丈夫!?」
煙が晴れて二人の姿が見えた。
良かった、二人は無事らしい。
「ああ、何とか……。でも……」
このままじゃ本当に全滅するかもな。
その時、圧倒的な力の前にで立ち尽くしてしまいそうな状況の中で、サキが叫んだ。
「二人ともお願い! 少しの間だけ注意をひいて時間を稼いで!」
サキは何かを決心したようにそう言い残すと、速足でどこかへと消えて行った。
「おい、サキ! 一体どこへ!」
「大丈夫だレイジ。サキは何か考えがあって行動したんだ。別に俺たちを置いて逃げたわけじゃない」
「言い切れるのか……それ?」
「ああ、多分……そうだと思う、半分くらい。いやもしかしたら……」
「段々と確信がなくなってんじゃねぇよ! ああ分かってるよ! あいつは俺たちを見捨てる程薄情じゃない。あいつが時間を稼げっていうなら、そうするしか今はないしな」
ああそうだ。今はサキを信じるほかない。
大丈夫だ、サキとはまだ出会って一か月もしないが、あいつは……
「きっと俺たちのことを信じてる。だからこそ、俺たちもあいつのことを信じるんだ……!」
「……そういうと思ったよ。やるっきゃないか……」
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