第十六話 sniper
森の中、純白のローブをみんなの纏った集団が、何かを燃やした後を発見した。
「焚き火……ですか……」
「どうやら、しばらくここに滞在していたようです」
その中で一人、背の高い男が辺りを見回す。
「……南。あの小僧共は南へ向かったようです。行きなさい」
その言葉と同時に、周りの部下たちは一斉に姿を消す。
「神から授かった祝福……なんとしてでも手に入れなければ。全ては教会のため、私の利益のため──」
*
「てぇぇやあああああっ!!」
「……甘い!」
ガルムに対して斬りかかろうとして飛び上がった俺に対し、ガルムの回し蹴りが鳩尾にクリーンヒットした俺は数メートル吹き飛ばされる。
「ふぐおっ……!」
「フハハハハッ! この前の威勢はどうした!」
「クッソ……」
なぜ俺たちが戦っているのかというと、別に喧嘩をしているというわけではない。
ただの戦闘訓練だ。
まぁ? この前は俺が勝っていた訳だし、それなりにいい勝負ができると思ってはいたのだが……
「ふぐあっ……!?」
「そらそら! まだ立てるだろう?」
「っ……! おい、どういうことだよ! 前戦った時より全然強いじゃねぇか!」
前回よりスピードもパワーも、目に見えるほど違う。
俺勝ったよな? この前こいつに勝ったよな?
「よもや驚いているな? まさかアレが私も本気だと思ったか?」
「んだよ……そうじゃねぇのかよ?」
「それはあの時私が、魔法も何も使えないお前に免じて『純粋に肉体だけで戦っていた』だけだ。我々魔獣族は魔素を消費することで、魔法や身体強化を使うことができる。今は身体強化のみだが、魔法まで使えばお前はすぐに消し炭になってしまうだろうな!」
そう自信を持って語ったガルムに対して。
「なんだ、結局はズルしなきゃ俺に勝てねぇんだろうが」
「誰がズルだ! それを言ったらお前の能力だってズルだろうが! なんだ祝福って? 神から授かった力? 私の力は固有のものだぞ! ズルなのはお前の方だ!」
「うるせぇ! 純粋に考えて、初めは何の能力も持っていなかった俺たちがそれくらいの待遇を受けるのは当然だろ? それを使って何が悪い? こんの犬畜産がっ!」
「黙れ小僧! だいたいお前は──」
「ああ、ああ、何とも醜い罵り合いだな」
「ふふっ……」
そんな俺たちの様子を少し離れた所で、レイジとサキが静観していた。
「なんだかんだ、あれでも仲良いんでしょ?」
「ああ、そのはずだぜ。……なぁ、そう言えばなんだけど、サキの祝福って一体どんなものなんだ?」
「ふふん、それはねぇ……」
サキはおもむろに、右腰からリボルバーを取り出す。
そしてそれを俺とガルムの間に照準を合わせ──
「てぁああっ!!」
「っだぁあっ!!」
俺とガルムがぶつかり合う直前、発射された弾丸は、俺とガルムの僅かな隙間を潜り抜け、どこかへ飛んで消え去った。
「私の祝福は『急所探知』。相手の弱点が確実に見て分かるの。まあ射撃のセンスは私の元からの能力だけどね!」
そしてサキはそう自信げに語った。
あと少しで当たるような所に弾丸を撃ち込まれた俺とガルムは、そんなサキに唖然とした。




