第十四話 教会の目
「おい……ッ! サキが一体何をしたっていうんだ!?」
俺はサキに突然拘束を施したロギアに対して詰め寄った。
「あなた方も危なかったですね、その女は神聖樹教会の手先です」
「違う! サキは教会の手先なんかじゃない!」
「では……」
俺が彼女に対して反論すると、彼女はサキに向かって左手を向ける。
そしてそれと同時に、なんとサキの左手の甲が光り出していた。
「なにこれ、知らない……っ。私はこんなもの知りません!」
「サキ、ちょっとその手を見せて。なんだ……これは紋様……」
それは一言で言ってしまえば、目玉だった。
青白く光った目玉は、ただの紋様であるのにも関わらず、どの向きからでもその目玉と目があっているように感じて、とても不気味だった。
「それは神聖樹教会の信者のみに発現するルーン。彼女が神聖樹教会の信者であることは明らかです」
「違うんだ……! サキは確かに元々教会に所属してはいた。けれど今のサキは教会を裏切って、俺たちについていくことを、自分の意志で決めたんだ! これは洗脳によるものなんかじゃない!」
「それを──それをどうやって証明するのですか? あなたがどれだけ彼女を信頼していたとしても、それを裏切られないという保証はどこにもありません」
ロギアの言っていることは全て正しい。
何も間違ったことは言っていない。
彼女もここを任されているリーダーとして、仲間を危険な目に合わせたくはないのだろう。
十分理解できる、けど……!
「確かにそうなのかもしれない……裏切られないなんて保証はないし、俺たちもいつか危険な目にあうことになる可能性もある。それでも……! サキは俺を、俺たちに助けて欲しいと言ったんだ……涙を流しながら言ってたんだ……!」
「だからなんだというのです? それが嘘ではないという保証は──」
「それでも……っ! 俺はサキを助けたい! もうサキは俺たちの仲間だ。俺は仲間を見捨てたりしない、たとえサキが本当に嘘をついているのなら、それが本当になるまでとことん付き合ってやるよ! 俺は今までそうやってきたんだ! 俺は俺の信念を曲げたりはしないさ!」
「……」
俺の言葉に、ロギアの険しい表情が一瞬、ほんの少しだけ綻ぶ。
そして、ガルムも俺に続き。
「姫様、私からもお願い申し上げます。私もしばらくの間、彼女と共に旅をしてきましたが、彼女は信用に足りる人物であると確信いたしました」
ガルムの言葉を聞いたロギアは、しばらく考え込み顔を上げる。
「では……サキ、と言いましたか?」
「は、はい!」
するとサキの拘束が解除され、サキの周りを囲っていた獣たちに押されて、ロギアの前に出される。
「貴女を信用したわけではありませんが、我が臣下と、そこの少年の想いに免じて、貴女に機会を与えます。この場所に滞在している期間に貴女が教会の手先でないことを証明しなさい。いいですね?」
その時には、険しかったロギアの表情は、先程までの優しいものに戻っていた。
「はい……必ず! 信じてくれたみんなのために……!」




