第十一話 忍び寄る聖光
昨日は投稿できず申し訳ないです……
これからなるべく毎日続けて行きますっ!
ユウジやサキがポラリスへ向けて出発した頃、あの教会の集落の白い塔の上の一室。
イスとテーブル以外は何も置かれていない質素な部屋で、照明や窓も無いせいか、部屋の中は薄暗い。
そしてその部屋の中で、一人の男が椅子に座って部下からの報告を待っていた。
「報告致します。サキが我々を裏切り、あの新たな召喚者たちとともに行動をしています。始末しますか?」
「必要無い。それに、やつらはどうやら魔獣族を味方につけているらしい……このまま尾行をしていけば、ポラリスが見つかるかもねぇ……」
男はどことなく気怠そうな声で、部下にそう伝える。
趣味の悪い貴金属性のドクロの飾りを首からぶら下げた男。
そんな格好と気の抜けた声をしていながらも彼の目は、しっかりと目標を捉え、決して逃がさない、まさに肉食獣のような目をしていた。
翡翠色の目が暗闇の中で、怪しく光っていた――
*
ガルムの案内でポラリスへ向けて出発した俺たち。
いくつもの山を越え、二つの川をまたぎ、三つの森を抜け、四つ目の森に差し掛かった時。
俺たちにある問題が発生した。
「霧……?」
森に入ってからしばらくした頃、濃い霧が立ち込める。
目の前はまるで見えないほど濃い霧だったが、ガルムはその道を迷うことなく突き進んでゆく。
さすがこういう感覚は鋭いのだろうか。
しかし――
「なぁ……お前たち」
突然前を先導していたガルムが足を止める。
「まさかお前たちの世界では、魔法が存在していたりはしないよな……」
「は?」
「ない」
「うん、ありません」
いや当たり前だろう。
存在しているわけがない。
常識だろとも思ったがだめだ。
この世界では常識なんてものは通じない。
「実はだな……」
ガルムが話してくれたのはこの森のことについて。
このユグドラシルには魔法が存在する。
魔法は例えるなら炎のようなもので、発動やその維持には燃料となる魔素が必要となり、それは全ての生物が保有しているわではない。
「へぇー…、やっぱり魔法なんてものがあるのか……でもそれがどうしたんだ?」
「いや、それがなんだな……」
ガルムは何だか申し訳なさそうな表情で語ってくれた。
世界によって魔素の有無は異なる。
そして魔素の存在しない世界の生物は、強く魔素の影響を受けるため毒なのだそう。
「そして今、我々がいる場所は精霊大森林、この森の奥地にポラリスが存在するのだが、他者の森への侵入を拒むために、この森には生物の方向感覚をマヒさせる魔法で作られた特殊な霧がかかっている。そしてこの切には多量の魔素が含まれている……」
「えっと……つまり……」
「我々魔獣族にとって、この霧自体に害はない。ただお前たちにとって、多量の魔素を含んだこの霧は猛毒。つまりお前たちは猛毒の霧に囲まれて、絶体絶命ということになるな。ハハ……」
なんだろう、このクソ犬畜生に無性に腹が立ってきた。
「テメェ……!! んでそれを先に言わねぇんだよ!? どうすんの、この霧毒なの!? 猛毒ってどれくらいの毒なの!?」
「聞いた話によると魔素の存在しない世界の生物が魔素の影響を受けると、身体に大きな負荷がかかり、それが限界を超えると、初めに全身の痛みから始まり、吐き気眩暈をもよおす。そして次第に骨がきしみ始め全身の筋肉が皮が裂ける程に肥大化。そしてそのまま内蔵が破裂し、全身がパンッと……」
「おいっ! パンってなんだ、パンって……!? そこ大事なとこだぜ!? シャレになんねぇぞ……俺死ぬのか!? もうちょっとこの霧吸っちゃってる気がするけど……」
そんな激しく動揺している俺に対して、サキは一言。
「別にあたしたちはこの霧を吸っても問題はないわよ?」
「えっ……」
「あたしたちには魔素の耐性があるの。ほら、歴史の授業なんかであった陰陽師が使っていたとされていた陰陽術。あれは形を変えた魔法で、現代に生きる私達は使い方を忘れてしまっただけで、私たちの世界にも魔素は存在している。そして私達はそれに対する耐性を持っているのよ」
「えっ……」
その言葉を聞いて、俺は冷静さを取り戻す。
そして周りを見渡すと、他のみんなが妙に冷静だったことから、この事実をみんなはもうすでに知っていることに気が付いた。
「大袈裟すぎよ」
「……お騒がせしました、はい……」
いや、俺にも教えておいて欲しかったんですけど……っ!
ちょっと恥ずかしかったんですけどっ!
そんななんだかんだ平和に旅を続けていた俺たちは、遂に霧を抜けた。
「着いたぞ、ようこそ我が第二の故郷へ。我々の楽園へ──」




