11 死より優先
べーが死んだ。
結局ベーは坊っちゃんと連絡を取れたのかな?
私は自分の仕事をする為に、べーの部屋を訪ねた。
でもそのドアの前に、ミラロイドが何体か集まってる。
「みんなも食べに来たの?」
珍しい。最近の若い子は嫌がるのに。これもべーの人徳ってやつかな?人じゃなくてミラロイドだけどね。
「シイ先輩」
「それが、エーが中から鍵を掛けてて」
「え?エーが?ここ、べーの部屋だよね?」
「え?ええ」
「それなら開いたら教えてくれる?」
「え?あ、はい」
「いや、シイ先輩?放っておいて良いんですか?」
トリプロイドが野太い声でそう言って、上から見下されると、少し引く。少し近いのよ。体温感じる近さだし。筋力強化してるから熱いので、本人の所為ではないから仕方ないけど。
「だって、開かないなら仕方ないでしょ?」
「このドアなら、簡単に開けられます」
それって、力任せに壊せるって事よね?
「壊すのはダメよ。壊すならご主人様か坊っちゃんの許可を取りなさい」
「いやしかし、それだといつになったら連絡が取れるか、分からないじゃないですか?」
だから私に命令させて、私の所為にしようって事?
「ダメよ。勝手な事はダメ」
「そんな、でも」
「この中で誰か、ベーの死亡を確認した?」
「それは私が」
一人のダブロイドが手を上げた。
「バイタルシグナルが途切れたので、部屋に入って確認しました」
「本当に死んでたのね?」
「はい。ケーブルが外れていたとかではなく、本当に死んでいました」
「ご主人様と坊っちゃんへの連絡は?」
「はい。直ぐにメッセージを送りました」
「そう。分かったわ。それじゃあ、ドアが開いたら教えて」
「え?シイ先輩?本当にこのままにするのですか?」
「ええ。だってどうしようもないでしょう?」
そう答えながら、ベーの部屋を後にした。
ここに残って、変な役割を押し付けられたら、堪らないもの。
ケイの部屋に戻って服を脱いで、ベッドに潜り込む。
「ん・・・お帰り」
「ごめん、起こした?」
「いや、ちょっとうつらうつらしてただけ」
そう言いながら、ケイは私を優しく抱き寄せた。
ここに来たばかりの頃と違って、腕に筋肉が付いてる。筋肉強化型ではないけど、ケイがリハビリを頑張った成果だ。
ケイの体を抱き締め返すと、背中の筋肉も良く分かる。
あの細かったケイが・・・なんて言葉を頭に浮かべると、やっぱり少し母親かって感じの気分になる。
エッチな事に毎日体を使ってる、と言うのも、なんか思春期男子っぽくて良い。
それにここに来た頃より、若返って見える。これも画像比較するとハッキリと分かる。重力に慣れたから、なのかな?
そして筋肉の付いた体も、若く見える顔も、ツヤの出てきた髪も魅力ではあるけれど、それより何より、ケイが感じる痛みが弱まってる事が私は嬉しい。
痛みが弱まってるので、夜も充分に眠れてる。
まあどこかが痛かったり、良く眠れなかったりしたら、こんなに日に何度も私と交わったり出来ない筈だけどね。もちろん、私が煽ってるのも悪いんだけど。
もしかしたら私のお陰で、ケイの病気が治ってるとか?
私のお陰と言うよりは、体を合わせてるおかげかも知れないけど。
そんな事を考えながら、ケイの体を愛撫すると、直ぐに強い反応がある。嬉しい。この後の事が期待出来るのも嬉しいけど、反応して貰える事が先ず嬉しい。私の事を受け入れて貰えてる気がする。
私は性欲を強化されてるけど、これまで自分から求めた事はない。
自分から欲しいと、抱かれたいと思うのは、ケイが初めてだ。




