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第九十五話 聖剣

ワクワクしたのはいつぶりだろうか?


鍛冶は初めてやったが凄い、次元越しとは言え鍛冶の神達の加護もあるからかすんなりと知識通りに身体が動く。

槌を叩きつける、その衝撃が腕に伝わってくる…ただの当たり前の事なのに凄い神秘を感じてしまった。


寧ろほぼ完成と言っても過言ではない。


『剣としては完成した』のだ。


俺はマジックバッグに大切に保管していたアリサの亡骸から作ったダイヤモンドをはめ込み、落ちないように錬金術で蓋を作り、その場は完成した。

あとは刀身に文字を刻む作業だ。


今回書いた文字の意味は様々な属性と再生、付与だ。

そして、魔力を浸透させて文字を発動させる。


これで永続的な魔法剣の出来上がりだ。

勇者(チート)が持つには良いでしょ。


「完成した。 聖剣だ! ドーラ様、これ持ってみて!」


「うむ」


ドーラ様が剣を持とうとしたらバシィと言う凄まじい音と共に閃光が走った。

これが持ち主と製作者以外を拒むと言う聖剣の特性なのだろうか?


「とりあえず、マーリン様に報告してから国王陛下へ謁見しよう」


「そうじゃな、それが良い」


エメリーのお父さんは完全に硬直してしまっており、もはや生きているのかすら分からなかった。

確かに鍛冶の根底を覆す様な鍛冶をしちゃったかもしれないしな…。

この世界の鍛冶を見たことないからわかんないけど。


「エメリーのお父さん! 貴重な場所とお時間を貸していただいてありがとうございました!」


「何を言っているんだい? 命の恩人に、凄い物を見せて貰ってこちらの方が感謝したいよ。 俺の名は『ライ』困った事があったら何でも言ってくれ!」


俺はその言葉にニヤ付いてしまった。

ギルドに販売用の伝説級武器はこの人に作ってもらおう。 俺が文字だけ刻めば良いし。


「わかりました! 近々お願いします!」


「任せとけ!…って近々?」


そうして俺は困っているライさんをほったらかしにしてマーリン様の待つ学院へと向かった。

学院は人が賑わっており、俺は勇者だけあってどれだけ欠席しても出席扱いされるようになっていた。


廊下は完全に道が割れていき、異様な光景になった。


「おい、あれ首席だったやつじゃん。 廃嫡されたんだろ? 平民に成り下がった奴が偉そうに」


「待てよ、お前知らないのか? あの人が今代の勇者なんだぜ? 勇者は貴族より権力があるんだ、逆らったり手出ししようもんならどうなるか…」


もう歩くだけで俺の噂話…認識阻害系の魔法とかないのかな?


そんなこんなで校長室へと到着する。 流石にもう迷わなくなったな。

静かにノックする。


「入れ」


「テイルです。 お耳に入れたい事があり参りました」


「ワシにか? して、なんじゃ?」


俺はマジックバッグから完成した聖剣を取り出す。

一見はただの剣。 そう造ったのだから。


「剣…。 まさかとは思うが聖剣が完成したとかは言わんよな?」


「そのまさかです。 聖剣は製作者と勇者以外を拒む性質があると言います。 試してみますか?」


「いや、良い。 どうせ、ディッセルかドーラ様でもう試してあるのだろ?」


良い推理をしている。 流石賢者だ。


「えぇ、ドーラ様が犠牲に…」


敢えて意味深な言い方をしてみる。 乗ってくれたらいいな。


「なら次は国王陛下に謁見出来るよう取り計らうとするか。 しかし良くその短期間で…」


乗ってくれなかった。


「はい、ではその時を楽しみにしています」


その時に伝説級武器の制作する事も言おう。

どんな反応されるかが楽しみだ。


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