第九十三話 馬車に揺られ...そして商業ギルドへ
俺達がまた馬車に揺られ始めたところで気付く…。
人数増えたから、かなり狭いことに…。
誰も文句言ってないけど相当苦しいはず。
「俺まだ子供で軽いし屋根の上にでも居ようかな?」
「テイル君? 一人だけ抜け駆けはダメじゃぞ?」
えぇ!? 広くしてあげようと思ったのに!?
なんて思っていたら休憩になったのでまた食事を作り始める。
まだまだマジックバッグには在庫があるので大丈夫そうだ。
またサンドイッチでも作ろうか。
燻製した肉を挟むことにした、そこにシャキシャキのレタスと甘めのトマトをカットしたものを挟み『マヨネーズ』を掛けて皆に渡す。
皆食べ始める。 それを見て食べる。
自分で作るマヨって美味しいよね。 ちょっと難しいけど。 分離して失敗しがちなんだよね。
「美味しいです…。 なんですかこのソース!」
真っ先に言い出したのはサリィ。 宮廷でも出された事無いだろうしそうなるよねぇ。
「マヨネーズって言います。 美味しいでしょ。 この間の飲み物が甘かったでしょ? あれのお砂糖と一緒で企業秘密です」
「むぅ…」
流石王女だけあってむくれ顔が可愛いし破壊力抜群である。
「なんやこんな隠し玉あったんかいな。 冷蔵庫もそうやけど、流石やなぁ」
「あれぇ? おかしいですねぇジャービル様? 冷蔵庫の事知ってるの商業ギルドと冒険者ギルドの酒場だけですよ?」
「…企業秘密や」
やっぱり、この人も何か隠してるよなぁ。
「俺から材料聞き出そうとしてませんよねぇ?」
「し、し、し、してへんで!?」
あぁこれしてるわ、先に商品登録しとこ。
色々注意事項付けないといけないけどね。防腐剤とか無い世界だし。
「これは俺が売り出さないといけない商品だからダメですよ?」
「チッ」
あからさまに舌打ちしたよね?
それみて他の賢者達は笑ってるよ? この人が守銭奴なの知ってたな?
一番の天敵かもしれない…。
食事も終わり、もう一度馬車に乗るぞって時に俺は真っ先に馬車の上を取った。
狭いし、女の子に挟まれてるのをニヤニヤ見られてるの凄い嫌な感じしかしなかったからね。
適当にずっと御者を勤めてくれてるメイカと喋りつつ軽く目を閉じる。
盗賊なんかが出るかも! なんて意気込んでいたけど出ずに終わったな。
賢者が出立することが触れ出されて居たからだろうか?
だとしたら賢者パワー恐るべし。
数年ぶりに王国に三賢者が揃った事で魔王軍は迂闊に王国に手を出せなくなっただろうな。
とりあえず王都についたので俺とドーラ様だけは商業ギルドの傍に下ろしてもらう。
マヨネーズの登録はしたいがそれは後。
すぐさまに空いている受付に向かう。
「テイルと言えば分かります。 アルガスさんに取り次いでください」
「畏まりました」
すぐにアルガスさんが出て来る。
「テイルちゃんが来たって事は金属の回収やろ! 待ってたで! オリハルコン、ミスリル、ヒヒイロカネ、アダマンタイト…揃えられそうな所はしっかり揃えたで? これでどうや?」
アイテムボックスから取り出し純度の確認をさせてくれる。
俺はドーラ様と顔を見合わせた。
『聖剣制作はこれならいける!』
そう確信したのだった。