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第七十九話 お風呂の試練

クリスエル公爵邸で長旅の前にと風呂に入る事を勧められた俺は素直に従う事にした。

王都の公爵邸の風呂は大浴場くらいあり、かなり大きい。


身体でも洗うかと真っ先に桶を手に取る。


「テイル様、お背中お流し致します」


サリィ王女殿下が入って来ようとしている。

慌てて俺は身体をタオルで隠す。


「間に合ってます!!!」


と叫ぶので必死だった。 サリィ王女殿下は何を考えているんだ!?

ササっと身体と髪を洗い湯船へと向かう。


「癒されるわぁ…」


ゆったりと湯船に浸かる、顔は緩みだらしなくなってしまい、誰かにみられたら黒歴史確定だろう。

かれこれ十五分くらいはこうしているだろうか? 湯加減も丁度良く、いつまでもこうしていられそうだ。


「テイル様、失礼します」


今度はメイカがタオルを巻いて突撃してきた。 もう、助けてくれ…俺の情緒を殺さないでくれ…


「メイカ! 入っちゃだめ! 後で女の子達でまとめて入って!」


「テイル様がそう仰るのなら…」


不服そうに帰って行った…。

マキナ嬢まで来たりしないよな!?


その後の風呂は平穏だった。

後に話を聞けばマキナ嬢は 、


「そんなはしたない真似しませんわ!」


だそうだ。


はしたなくなければ来たんだね。

その後は無詠唱のおさらいをしながらベッドに入り、魔法と錬金術の同時行使、維持を練習する。


魔力は使えば使うだけ増えるという説もあるので、使っているのだ。

錬金術の方は練度を上げる為に行っている。

俗にいうマルチタスクの練習にもなるな。


良い時刻になってきたので、俺は眠りにつくことにした。

朝、サリィ王女殿下が起こしに来てくれたのですんなり起きれたが若干距離が近い気がした。


急いで着替えて、髪を整え部屋を出る。

外で待機していたサリィ王女殿下に身支度なら手伝うと言われるが、流石に前世の記憶があるので気が引けてしまうので丁重に断る。


朝も早いため、朝食は抜きで出発である。

馬車を使うらしいので軽食を摂るようにしよう。 サンドイッチくらいなら普通に作れるし、材料にも余裕あるからなんとかなるだろう。


マキナ嬢も身支度を終え出て来たのでメイカを含めた四人で学院へと向かう。


当然朝早すぎてまだ果物屋はやって居ない…と思ったが、普通にやっていたので、万が一の為に日持ちしそうな果物を余分に買っておく。


マジックバッグの許容量に果物屋を含めた全員が驚いてしまうくらい買ったので流石に自重しよう…。 まだまだ余裕はあるけど。


マキナ嬢が喉が渇いて来たと言うので首から掛けれるタイプの水筒を全員に渡す。

中身は密かに用意しておいた砂糖を少量使用したブドウの果実水だ。


一口飲んだマキナ嬢はとても喜んでいて、作った甲斐があった。


幸いにも甜菜(てんさい)らしき野菜が取れる地域があったので試しにやってみたら砂糖が作れたのだ。

今は数を作れる様にしている所である。 多少のストックも出来て来たところだ。


しばらく歩いていると学院が見えて来た。

歩くとまぁまぁ距離があるので大分運動にはなると思う。


もう皆到着して居る様だったが、中に一人見知った顔が増えている様に見えていた。

更に近づくとそれは確証に変わった。

あの方は俺と同じくマーリン様の弟子で、俺の家庭教師も過去に務めて下さってたライラ・フォン・メーティル先生だ。


「皆さん初めましての方は初めまして。 ライラ・フォン・メーティルです。 そして、テイル君お久しぶりです。 緊急事態という事で派遣されてきました。 よろしくお願いしますね」


「メーティル先生! お身体はもう大丈夫なのですか!?」


「えぇ! ばっちりです」


「では、ワシらはこれよりエルフの救助へ向かう、馬車はメーティルが貸してくれた。 御者はディッセルができたはずじゃの?」


マーリン様が指示をする。 ディッセルはメイカの家名だ。


「はい!」


「では、急ぎ出発じゃ。 詳しい事は道中で決めれば良い。 勇者パーティなんてそんなもんじゃ!」


一同頷き、馬車に乗り込む。 かなり大きい馬車だ…。 聞けば軍行用らしい。


「では、出発します!」


こうして、勇者としての初めての冒険が始まろうとしていた。


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