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第六十九話 公爵の助力

真剣にドーラ様の話す世界の、俺の現状に聞き入ってくれる二人。 ところどころ(うなず)いたり(おどろ)いたりしている。


そして、マキナが質問をぶつけてくる。


「テイル様は転生者ということは元はもっと歳上だったということですか?」


「はい、日本での最期(さいご)は二十五歳でした」


「じゃあお兄さんですね」


マキナ嬢が茶化してくる。 そんな状態じゃないのに。

ドーラ様が再び口を開く。


「良いか、この者は勇者となりて、魔王が復活せし時、その心臓を聖剣で貫くだろう。 その大義があるのだ。 錬金術師とはそういう役目なのだ」


「では、なぜテイル君が?」


クリスエル公爵が質問を優しく投げてくれる。


「この者には先ほども言った通り前世の記憶があるからじゃ。 過去に聖剣を生み出した者も、勇者となった者もテイルとどこか似通(にかよ)った部分があったのじゃ」


「そんな、大人だった事があるとはいえまだ子供です…。 我々大人の庇護下(ひごか)にあるべき者だ…。 なぜそのような…」


「そしてな、テイルじゃが何者かに記憶を消されておる。 それを見ても良いか。 テイルが信の置ける者に聞いておきたい」


「俺の記憶が消されてる!?」


「わかりました。 私達の権限で許可を出しましょう」


「良かろう。 彼の者に失われた記憶の欠片を! リメンバル!」


「うっ!」


苦しい。 セバスが魔族だった!? 父上と兄上は知っていた!? 母上は!?


戦いが始まり、俺が勝つ。


「思い出しました…。 執事だったセバスが魔族で、父上と兄上がセバスが魔族の事を知っている様でした。 母上は人形の様でした…」


「母上殿は魂を…抜かれたか」


「魂を抜かれる…ですか?」


公爵閣下が怪訝そうに聞いて来る。


「そうじゃ、人の魂を用いた魔道具の制作、いや、神具の制作じゃよ。 これは、もはや魔族や魔王なんてちゃちな存在じゃない。 魔神が関わって来とる」


俺達は驚愕した。 魔神だって!?

そんなの、勇者パーティだって出会わなかった伝説上の...御伽噺(おとぎばなし)の存在じゃないか。


「まさか…」


「そのまさかじゃ。 このままじゃとテイルの身が危ない。 クリスエルよ。 テイルの身を守れ。 今すぐに婿にしてでも。 謀反(むほん)を起こしてでもテイルを守れ」


「畏まりました。 我がクリスエル家では、マルディン家に対し、テイル君への普段の行いの数々を言及し、我々がテイル君を保護すると布告を致します。 国王にもその様に」


「よい。 どこに敵が居るか分からない以上そのくらいの動きが妥当じゃろうな。 お主は(さと)いな。 見直した。」


「お褒めに預かり光栄に賜ります」


「テイルよ。 彼奴等(やつら)の活動をどんどん大っぴらにするために派手に動け。 我やマーリンらがお前とメイカを鍛える」


「ドーラ様!!! お願いがあります!!!」


ここで割り込んできたのはマキナだ。


「なんじゃ小童」


「私も、私も鍛えては貰えませんでしょうか! 一生テイル様のお傍に居たい! なのに守られてばかりでは嫌なのです。 お願いします。 命を差し出したって構いません!」


(たわ)け! 傍に居たい? ならば命は差し出すな! 言葉を(つつし)小童(こわっぱ)! 覚悟は受け取った。 マーリンにも頼んでやろう。 しかしな、二度と命を差し出すなどと言うなよ。 テイルが戦場でどんな思いをしてきたか貴様は知らんだろう。 軽々しく、言っていい言葉ではない!!!」


「…はい! すみませんでした!」


「では、テイル君、今日から君は我々の息子だ、良いね?」


公爵閣下の圧が凄い。 拒否れない。


「はい」


「そして、手が空いた時だけで良い。 こんな一大事なんだ、うちの騎士達や魔法師達の指導を付けて行ってあげて欲しい」


「わかりました」


「ありがとう。 頼んだよ」


「諸君、我は宿に戻り、明朝、冒険者の依頼を受けて来るぞ! 何かあれば宿に伝えに来てくれ!」


「はい!」


最後は和んでその場は解散となった。


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