第六十五話 地球の神
私は地球の神です。 司っている権能は創造、時間、天空。
宗派によっては私を唯一神として崇めているそうです。 私は様々な宗派で創造神として崇められているそうです。
私の不始末により生み出してしまった邪の眷属…。
地球では犯罪者達と呼ばれる者達…。 それを管理する者達も作った。
それでも子供達で殺しや、略奪、戦争は絶えません。
子供達…。 いえ、彼ら人の子らが我々をも凌駕する速度で成長しているということでしょう。
中には良い文化もありました。 ですが、我々にとってはそれはほんの些細な誤算でしかありませんでした。
あぁ、神をも作り上げた存在が居るのなら私は問いたい。
なぜ人はここまで醜悪になれるのかと。
丁度、邪の者によって一人の者が息絶えました。
この者に慈悲を…。 あぁ、このような世界でなく次の人生ではもっと穏便に住める様に。
だが、神にとって一瞬だった。
魔神? 魔王? 不穏な言葉だけが入ってくる。
彼の成長も目を見張りました。 ですが、何故か地球よりも邪なる者が存在しているじゃないですか。
なんなんですか?
あらゆる神々を招集します。 あらゆる宗派、神話、伝承の者達を。
そして私は言い渡します。
「彼の者に力を授けなさい」
反発もあった。 すべて、押し通すだけの力が私にはあった。
黙らせた。 そして、無理やり納得させた。
神失格かもしれません。 ですが良いのです。
私は彼を愛して居ますから。 山田としても。 神としても。
彼が救われるのならなんだってする。
かの地の神と交信が取れました。
私は、問いただしました。
「なぜ地球の者だけを狙って勇者に選定、するのですか」
「そちらの者の方が知識があり、強いのだ」
「ならば、私達もそちらに干渉させていただきます」
「そんな横暴聞けるわけが!」
「黙りなさい! 貴方は許されるのにこちらは許さないなど、言語道断です! これは布告です」
「…わかった」
なんとか交信を終えた私は一息つきます。
そして、彼を見ながら、彼に授ける加護を考えます。
その頃のテイルはただ様々な事を思い出し。 泣き喚いてベッドを濡らすしか出来ないのだった。
だが、なぜか急に身体があったかくなってきて…。
「っ! 山田!?」
「先輩! お久しぶりです!」
「夢…か」
「そう思ってもらって構いませんよ。 私は実は地球の神だったのです。 貴方に力を授けたい。 そう願ったのです。 信じてくれなくて構いません」
俺は信じる...か。 だってこんななんでもありな世界で山田が神だなんて今更知っても驚かない。 これが夢で明日仕事だってなったら流石に俺も驚くが。
「そうか、俺は生憎無宗教でね。 神ってのは嫌いじゃないが…」
「構いません。 私が山田であるので、そこに変わりはありません」
「そう…か」
「日本…いえ、地球の神々が貴方に加護を授けます」
「えぇ…」
俺は困惑したまま、意識が戻り、朝になったのだった。