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第六十三話 邪なる者

とある洞窟にて。


「首尾はどうだ」


「上々です。 器達も準備が整って来ております。 後は逐一計画を遂行するのみ、かと」


「ふむ」


黒いローブの男は深く考え込む。 一つ、男に問いかける。


「かの英雄の卵や龍王、賢者達が邪魔をしてくるだろう?」


「はい、都度退けます」


「いや、ならば器を同時に覚醒(・・・・・)させてしまえばいい。 確か、三つか?」


「撒いた種は多いのですが、器として覚醒したのは三つのみでした」


「一つは我らが手中にあるのだろう。 我らが得意とする混乱に乗じ、眷属達を用い器を同時に覚醒させよ」


「畏まりました」


不穏な会話は続く。


「して、かの龍王の力量はどうだ」


「あの程度でしたら貴方様のお力を開放するまでもないかと」


にんまりという表現が適切な笑みをオルナは浮かべる。


「そうか、ならば貴様の思うように動き、戦乱を巻き起こし、魔王を手中に収めてこい」


「はい、魔神王(・・・)様」


「任せたぞ、新たなる魔神オルナ(・・・・・)よ」


二人は厭らしい笑みを浮かべ合い、その場を去る。


「ミハユルの敗北は予想外でしたのでその場にいたマルディン家に携わった事のある人間達の記憶を改変して正解でした。 これにはかの英雄の卵すら気付けない様ですね」


オルナは独り言ちながら計画を算段し、練り直す。

全てはミハユルの独断先行のせいで崩れたのだ。


テイルやドーラ達龍種、マーリン達三賢者に知れてしまえば計画は破綻する。


その前に全てを崩す。


エルフやドワーフや妖精、精霊を洗脳してしまうのもいいだろう。

人質にもなる。龍種や三賢者だけでも動きを封じれたらこちらの手のひらで転がすも同然なのだから。


まずは、ここから近いエルフの森だ。

シャンティマの森…囲う様に火を放って逃げれない様にしてしまおうか。


どんどんと悪意に満ち溢れた計画や思考に飲まれていくオルナは凶悪性が増し、その邪神としての神格が上がっていくのを、本人すら気付いていない。



一方でエルフの森…シャンティマの森では預言(ヴォルスパー)とが襲撃を予見していた。


だが里から離れる事は里を、森に背く行為だとして忌み嫌われている。

彼らには一つ方法があった。


龍王である白龍に妖精の使いを出す事だ。

預言でも場所が分からない以上一か八かになるがそれに(すが)るしかなかった。


エルフの長は覚悟を決め、妖精の伝令長に言伝を頼んだ。

エルフ族に神の加護があらん事を、長を含めすべての民が願った。


その時、願いを聞き届けるかのように様に光の粒が降り注いだ。

これから訪れる事を予見するかの様に。


妖精の伝令達は言伝を心に刻み込み、東へ、西へ、南へ、北へと、各々が散り散りになっていった。


妖精達にこうもエルフの長は言った。

龍王でなくても救って下さるのなら賢者様でも英雄でも良いと。


森から東へ行ったディセイム龍王国では龍王ドーラを神と崇め龍人族であるドラコディアス一族が統治している。 はの者達は戦闘能力に長け、龍と人の共存を目的としている。 龍人はかつて、英雄として名を馳せ続けて居る。


森から西へ行けばこの世界の名前にもなっている創造神アレスディアを崇めている、アレスディア教国がある。 創造神だけでなく、勇者信仰、妖精信仰、精霊信仰にも厚い国である。 かの国には邪龍殺しの英雄エクスが居る。


さらに森から南へ行けばイスカンディウス帝国がある。

この国には今は連絡の途絶えている三賢者ジャービルが居る可能性が高い。


そして、森から北にはテイル達の住むアストレア王国がある。



邪神オルナは自分の選択を後に悔いる事となる。


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