第四十話 ドーラ
僕はふとした疑問をぶつける。
「そういえばお名前を聞いてませんでしたね」
「我の名はドーラじゃぞ、よろしく頼むぞテイルとメイカ!」
ここぞとばかりに無い胸を張って喋る。
偉い人っぽく喋りたいんだろうか...。
「ドーラ様ですね、今後ともよろしくお願いします」
「テイル様共々よろしくお願いします」
「うむ。 あいわかった」
テイル達がドーラの自己紹介を済ませていると受付から呼び出しが掛かった。
「テイル様、ドーラ様。 準備が出来ましたのでカウンターにお越しください」
僕達はいつもの受付へと向かう。
「お待たせいたしました、こちらがクエストの報酬とドーラ様のギルドカードになります。 魔力の測定はなさっていきますか?」
「我は魔力を好まないから結構だ。 お心遣い感謝するぞ」
「ギルドのランク等についてのご説明は聞いて行かれますか?」
「テイルに聞くから大丈夫であるぞ。 ありがとう」
との事なので魔力測定はせずにドーラの宿を探すことにする。
冒険者ギルドから近い所に安宿が何件かあるので案内する。
「三泊銅貨五枚で泊まれるところがあるようです。 テイル様、ドーラ様どうでしょうか?」
結構この辺でも割安な部類にあたるはずだ。
「個室だし大丈夫だとは思うけど...」
「そうですね、安全性もまぁまぁありますし最初はここを拠点にしても良いかもしれませんね」
「うむ。 テイル達に任せるぞ」
「じゃあここにしましょうか」
ギシギシと少し嫌な音のする扉を開けて中へと入る。
「誰も居ないね。 すいませーん! 受付お願いできませんかー?」
すると中から人が出てくる。
「はーい! ごめんなさいね。 アタシ一人しか従業員が居ないもんでねぇ」
「大丈夫です。 この子を泊めたいのですがとりあえず三泊で」
「部屋なら空いてるよ! 一人で大丈夫なのかい?」
「我なら大丈夫だぞ。 明日から冒険者なのだ!」
「この方は長命種なので僕より年上なんですよ」
と補足をしておく。
するとドーラはまた無い胸を張って威張っている。
「そりゃあ頼もしいね! じゃあこっちだよ!」
おばさんが案内してくれるらしい
「すいません! 料金は」
僕は慌てて従業員に聞いておく。
「後払いで大丈夫だよ。 明日から冒険者なんだろ? たーんと稼いでおいで!」
なんと優しいおばちゃんなんだろうか。 ここを選んで正解だったかもしれない。
「ありがとうございます。 ドーラ様、明日迎えに来ますね!」
「あいわかった! それと、テイル達はもう仲間なのじゃから堅苦しい態度はやめんか」
「うん、わかったよ! これでいい?」
「うむ、よいぞ。 では、明日待っておるぞ」
「うん、じゃあまた明日!」
「私はこのままが一番楽なので、このままで行かせてもらいますね。 失礼させていただきます!」
とメイカが続く。
そんな会話をして僕達は宿を後にした。