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第三百七十四話

ドゴオオオオオオオオオオン!!!!


海の割れる音。

こんな状況になるなんて聞いていないけど!?


『久しい、久しい、海蛇王』


『海女帝、貴様…狂ったか?』


『狂う、違う、力、貰った』


力を貰った? 誰から? 外部からか?

考えている余裕はない。 もっと船から引き離さないと皆が巻き添えになる。

その考えを察知したのか、船から離れる様に移動をしてくれるリヴィ。

これは後でスルメのご褒美か。


「誰に力を貰ったんだ」


『錬金術師、それと火の精霊、もう居ない、死んだらしい』


あいつとアレか。 ここでもあいつか。

だとすると厄介事を残して行きやがったとしか言いようがないが。

妙に引っかかる。

奴らに力を与えていたのは誰だったんだ? 一体何の目的で


『これで海、一番』


『させんわ!』


ぶつかり合う、巨大な蛇と巨大な化け物。

海女帝の方が何かを仕掛けようとしているのか…。


『海、統べる』


無数の渦が巻き起こり、リヴィを取り囲み始める。


『ぐぅっ!!!』


俺は魔法と錬金術で渦を阻害し、相殺するもどんどん湧いて来る。


『お前、錬金術師』


「だからなんだよ!」


『仲間なれ』


「お断りだ! リヴィの仲間なんだよ」


『じゃあ、死ね』


渦が空中へと伸びあがり竜巻へと変わる。

轟々と音を立て近付き始める竜巻に、俺は一つばかりの覚悟を決めた。


『!? …テイルっ!!!』


バチリ、バチリと懐かしくも思える様な感覚で集中を行う。


『その力、忌々しい、やらせない』


『私が居る事を忘れるな!』


何度も再現するのは正直身体が限界になってしまうからやめておきたいところなんだけど…。

あんな禍々しい竜巻を見せられたらこれで止めるしかないないだろ!


「いっけえええええ! 雷霆(ケラウノス)!!!」


その神雷は竜巻を滅し、海女帝の半身をも穿った。


「リヴィが海女帝を止めてくれたおかげだよ。 助かった」


『礼ならスルメで頼む』


どれだけスルメが好きなんだよ! もうスルメ工場作れば良いのか!?

リヴィのせいでクラーケンが絶滅しても知らないからな。


『あ、あ、海、血で汚れた、汚い、汚い』


「汚くなんてないさ。 海はずっと綺麗なままだ。 カリブディス、二つ聞かせてくれ。 お前は何故、魚人族を閉じ込めた?」


『強くなる薬、魚人族、ヒレ』


「海を統べてどうしたかった?」


『お父さんに会いたかった』


「父親に? …と言うとまさか」


カリブディスの両親と言えば…。


『うん』


この子を殺す必要があるのだろうか? 情けなどではない…と思う。


(先輩、調べた結果、会わせる事は出来なくても声なら繋げられます。 転生のシステムを無理やり使えば、会う事も可能でしょう…。 後で詳しくお話しますが、その子はなるべく殺さないでください)


やっぱりそうだったか、殺さなくて良かった。


「質問が増えた。 もし、父親と喋れるのなら、喋りたいか? 会う事は難しいかもしれないけど」


『でも、死ぬ』


「これを飲めば死なないよ」


『…』


「ただし、リヴィや、魚人族…迷惑を掛けた皆に謝るんだ。 出来るならこの万能薬をあげよう」


『約束』


俺は万能薬をカリブディスに飲ませた。


最近更新遅れ気味だったので本日は二作品更新です~!

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