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第三百七十三話

テイルの方も蛇の方もマーガレット王国の方もアストレア王国も竜人の国もかなり騒がしい状態となっている。

如何にテイルが慕われているかというかが伺える。

しかし、テイルは今、その状況を殆ど知る由もなく…。


「さて、テイルの奴、一体今度はどんな事をして皆を驚かせてくれるつもりだ? 俺は父として鼻が高いが、胃が痛いぞ」


「どうぞ、胃薬です」


「いや、そうじゃなくてな…」


「え…ではどうしろと…」


「テイルに自重を覚えさせてくれ。 お前は妻なのだろう…」


「無理ですよ? 彼に自重を覚えさせたら世界が滅ぶと思います。 多分…。 では新しいお茶をお持ちしますね」


そ、そんな大げさな事はあるまい。

無いよな? 目を見て言ってくれないのだ?

なぜ???


「まぁ、テイルだからそんな事もあるのだろうな…。 きっとそうだな…」


自分の息子だし、精霊と結ばれたような男の息子だし。

てか、テイルは神になったのだろう? 前世の記憶もあるのだろう?

ましてや自分が魔神王に封印されている間擬態した魔神王に育てられて…むしろ虐待の域だったらしいが。

ぶっ飛んでいるのは当然か…?


「む、誰だ」


「…」


暗殺者の類か。

だとしたら屋敷に遊びに来た…いや、仕事に来たテイルの嫁達はどうなる。

コイツはここで処理するしかないか。


「来い零鉄!」


「…!!!」


「色々と鍛えてね。 そして、息子のお抱えの職人に作ってもらった武器…これは実に良い。 なんと意識を持った武器でな。 呼びかければ自在に出て来るんだ」


「さぁ、殺り合おうか」


この戦闘するには狭すぎる部屋ではこちらは不利だ。

ならば、奴が飛び込んできた際に防御しつつ外に連れ出す。

さぁ、いつでも掛かってくるが良い。


ビュンッという音と共に駆けて来る暗殺者。

思ったより明らかに速い。

が、反応出来ない程ではない。 何故なら…。


「魔神王の方が断然速かったわ!!! 舐めるなぁぁぁ!!!」


ドゴォォォォン!!!


暗殺者の不意の攻撃を受け止め、そのまま外へと連れ出し投げ飛ばす。

安物のマジックバッグから取り出した、安物の剣を大量に暗殺者に投げつける。


「くっ!」


「おぉ! やっと声を上げたなぁ!」


ちょこまかと避けてはいるが、投げる数が多すぎてところどころ掠っている様だ。


「そろそろ遊びは終わりにしても良いぞ」


「…」


喋らんのか。

ふむ、なるほど。 そう言えば…。


ドゴッっという言う音と共に暗殺者は気絶した。


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