第三百五十二話
『こんな美味い酒が毎日飲めるんだったらいくらでも友好関係を築いてやっても良いと思うが…』
「某はプライドと言う物を全てへし折られたので、もう好きにしていいである…。 オロチが酒に釣られるなら某も飲むである…」
「いや、働いてください?」
「な、なにをさせようと言うのであるか…。 まさか蛇皮を…」
何を言っとるんじゃコイツは。 ボコボコにされ過ぎて狂ったか?
「いや、この辺の魔物とかの管理かな、あとは海蛇王への口利き」
「その程度であれだけの酒が飲み放題なら某は構わんよ。 しかし、この辺は魔物や動物が寄り付きにくい土地になっている。 より環境に適応しやすい種で無いとこの地には…。 虹蛇の領域は何故か多いのであるが」
確かに普通に鳥とか飛んでた気がする。
それって、こいつらが全部食ったんじゃないの…?
「ま、まぁじゃあ移住希望の動物や住民が居ないかも探しておくよ」
『そこまでしてくれるのか…? そこまでされては頭が上がらないではないか…。 どれ、蛇を漬けて造る酒があるのだろう? この首を一本持って行くといい。 良い酒が出来るはずだ!』
ハブ酒ならぬオロチ酒ですか…。
禍々しさは半端ない。 まぁ、出来たら本人にあげよう。
「ん? ところで大事な首貰ってしまって良いの?」
『数回夜を越せばまた生えて来るのだ。 不思議な身体をしているだろう? 何故だか分からないが…』
聞かなきゃ良かった。
「瓶の中で切った方の頭が再生したりは…」
『多分しない…。 傷口は綺麗に塞がってはずだけど…』
なにその要らない機能。
「テイル君。 変なのとよく知り合うけど、そう言う運命なのかい?」
「じゃあ、お前も変なのって事になるけど?」
「それは今更じゃないかな? 大罪だなんて痛い名前を名乗ってたくらいだからね? 失礼しちゃうよ」
何が?
「あぁ、それと…テイル君。 君の作った学校ねぇ…教員も生徒も募集が凄すぎてどうしたら良いか分からないレベルだよ」
その報告はあとで聞きたかったな。
「テイル君。 君、結構学校の事後回しにしてたよね? ほっぽってたよね??? ちなみに僕もほっぽってたよ? そうしたらどうなったと思う???」
「何か聞いちゃヤバイ気がするんだけど」
「その通りだよ。 サリィ達が大激怒してるから、僕達は帰ったらとっても説教されると思うよ」
どうしてこうなった…。
『学校と言うのはなんのことだ…?』
「人に教育を施す施設さ。 人族では一般的ではあるんだけど、まだまだ階級差があったりしてね」
『ふむ…。 手伝ってやろうか…。 酒の礼だ』
「…え?」
とんでも無いこと言ってませんか?
『何を教えるのか、と言うところにもよるが…。 対魔物に対する指導や、森、山の歩き方程度なら教えてやれる。 そう言うのは教えていないのか?』
「いや、人員として欠けていたところではあった…。 けど、どう納得させるかで悩んでるよ…」
「まぁ、テイル君だからどうとでもなるでしょ…」
そう言っている間にまたしてもウワバミはマックスと団長にしごかれてボロボロになっていた。
南無…。




