第三百四十八話
どうやら、場所は凄い毒々しい森の中にある洞窟らしい。
別に毒々しいだけで実際に毒がある訳では無さそうだが…。
だが、他の生物の気配を全く感じないのはどうも気になって仕方が無いな。
「見えてきました」
「あぁ、でっかいな。 あれはヤバイ…」
「ところで…大罪の彼ら…船に置き去りにしてきて大丈夫だったのですか? 我らゴーレムは連れてきていただけた様ですが…」
「ほら、船を守る人も必要でしょ?」
忘れていたなんて言ったらそれこそ首が一回くらい胴体とオサラバしてしまいそうだからな。
「獣王様、大罪とは…噂に聞くあの大罪か?」
「わらわも聞いたことがあるのじゃ、最強で、最悪、その存在こそが災厄であると」
「私共も聞いたことがあるのじゃ」
そんな認識なの!? 流石に言い過ぎだろ!!
「特に恐ろしいのは【暴食】 何でも喰らい尽くすと言うのじゃ…」
「いやいや、【嫉妬】 も…。 際限なく強くなっていくと言うらしい、太刀打ちできないぞそんなの…」
一応【嫉妬】 には勝ってます…。 なんかごめんなさい。
「テイル様…いえ、陛下は【嫉妬】 や【強欲】 に打ち勝ち残りの大罪を味方に引き入れてしまわれました。 それほどのお方ですよ」
「「「なんと!!!」」」
ヴァンパイアも俺を持ち上げるのを辞めてくれ。
そして、それを聞いてドヤ顔で頷くリヴィエルもやめなさい…。
こっちが恥ずかしくなってくるでしょうが!!!
「デカすぎて全然近付かないな…」
『貴様か、この酒を持ってきた者は』
八つの声が同時に響き、腹の奥底に響く。 まるで、目の前で太鼓を叩かれているみたいな感覚だ。
「あぁ、そうだ。 俺の作った酒だ。 美味いか」
『まずまずだな』
「にしては美味そうに飲んでるけど? 足りないならもっといるか?」
「オロチよ、この小僧に乗せられるでない。 何を要求させられるやも分かったものかもわからぬぞ」
「困ってる事でもあるのか? 何かあるのなら話して欲しいんだが」
ヤマタノオロチとウワバミは困ったようにお互いを見合う。
そして、ウワバミが語り始める。
「某達は強者である。 故に獲物が寄り付かなくなった…。 某達にはもう、こんな強さも見抜けぬ小物しか寄り付かぬのよ…」
と言い、近くに寄ってきた小さな虫を喰らった。
「じゃあ、君達は人間に対して敵対心は?」
『人間は我らにとっては糧としてしかみたことはない。 だが、稀に話せる奴もいる』
「某達とて、全ての者に武があると思ってはおらん」
滅茶苦茶気になってるんだけど、ウワバミさん武士っぽい…。
しかも、なんかバトルジャンキー気質なオーラは感じる…と言う事は…!
「オラオラオラオラァ!!!」
「主よ、この様な場所に行くのに置いて行くとは何をお考えか」
「そうだよね。 僕達をこんなに面白そうな素材が沢山ある場所に連れてこないなんてどうかしてるよ」
「可愛い蛇達が居るねぇ、これはあの大陸の蛇のオリジナルの魔物か…! 実に興味深い!」
「この辺に良い男は転がってないじゃない…」
今、出来れば一番来てほしくない奴らが登場してしまった。
さっき噂をしたから、きっと来てしまったんだろう。
これが俗に言うフラグと言うやつかもしれない。 最悪だよ。
「「「た、大罪だぁぁぁ!!!」」」
『なんだと!!!』
「これが大罪!?」
こいつらも知ってんのかよ!




