第三百四十五話
「の、のう、その…獣人と言うのは力持ちなのか?」
「そうだな…力に秀でている部族が多い傾向にあるが、獣人の中にも他にも空を自由に飛び回る鳥人族とか、すっげぇ脚の速い犬人族や猫人族、交渉事に長けてる狐人族、狸人族なんかも居る。 俺は獣王なんて言われてるが、正確には獅子族だ。 得意な事は狩り…くらいか…?」
「はっはっは! 獣王様は狩りの事になると誰よりも活き活きしてらっしゃるからなぁ。 俺達虎人族ですら狩りの場では圧倒されるんだよ!」
「ほ、ほぉ…それは頼もしいな…」
「今まではこちらでは一方的に蛇眼や毒で動きを止めて狩りをしていたからのぉ…正攻法をの狩りや戦いと言うものを全く知らないのじゃ…無論ツワモノと言う者達の事も」
その言葉の真意を即座に理解したのはリヴィエルと俺だろう。
要は『酒の場だし、余興が必要だろ? いっちょ戦ってみない?』 って事だ。
本当に酒癖の悪い脳筋しかいないのか。
「陛下…ここはむしろやらせてしまいましょう。 相手次第ですが獣王殿は勝つと思います」
ほう。 リヴィエルは面白い事を言う。
確かに俺もそう思うが確証がない…。
「俺が許可する。 ふぅ…錬成! …試合はこの中で、毒や刃物など相手の致命傷になりそうなものを使用した場合は負けね。 両者準備は出来た?」
「ははは、錬金術師っていうのはどんなものか聞いたことが無かったがもう完全に創造神ってレベルじゃないか…。 準備なら…出来てるさ!」
「右に同じ」
おぉ、獣王と虹蛇…目が真剣だ。
「始め!」
先に動き出したのはバーン。 どうやら正面突破の正拳突きをするようだ。
しかし、それは虹蛇には想定内だったようで綺麗に躱す。
「チッ! 顔面に一発入れば終わりだってのに! 流石に野生の獣と同じとはいかねぇのか!」
「それは当然。 流石にその威力は痛そうじゃ」
「そうかい…」
先程から下を気にしているバーン。
虹蛇の尾が地面に潜っている事に気が付いている様だ。
「致命傷を与えてはいけないと言われているのでどの様にするか考えていたのじゃ」
ドォォォォォン!!! と言う音と共に尻尾がバーンの周囲を取り囲む様に現れそのままバーンに巻き付く。
ギチギチ…ギチギチ…と音が鳴り始めてきて、流石に周りも止めに入るか悩んでいる様だった。
「これはまずい…か?」
「いえ、獣王殿を良く見て下さい」
「は? 笑ってる…?」
まだ、逆転の余地があるのだろうか…? 一体どうやって?
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「!?」
バーンの身体が赤く発光し始める。
「この技は獣王にしか使えない技だ。 しかし、ここ何世代も使えた者が居なかったと言う。 それこの技だ!!!」
ブチブチブチブチィ!!! と虹蛇の尾が引きちぎれる音が木霊した。
「『完全獣王化』 クッソ燃費が悪くて長時間は使えないが…さぁ…ここからが本番だ!」
「降参じゃ…。 ソレには勝てん」
「え、えぇ…折角の見せ場だったのに!? こ、降参って? 頼むよぉ…戦ってくれよぉ…」
「戦ったらこっちが死んでしまうじゃろ…」
それはそうだ。
という事で凄いスキル? を見せて貰った事で宴会は大盛り上がりした。
二人共試合が消化しきれなかったらしく俺が結局軽く相手してやることにはなったがまたそれはいつか話そう。




