第三百四十三話
「あれ? そういえばヤマタノオロチとかって蛇とかの仲間じゃないの?」
一斉に鋭い視線がこちらに向きいたと思ったら次の瞬間には空気が重くなり、皆悲しそうな、それでいてなんとも言い難い様な雰囲気を醸し始める。
「一つ…教えておこう。 ヤマタノオロチはこの国のサイハテ区域とと呼ばれる地域以外をウワバミと共に治める強力な長だ。 こちら側よりも奥に存在する海域は海蛇王リヴァイアサンが治めているそうだ…」
だが、治めていると言う言葉に対して強烈な違和感を感じてしまう。
「それにしては気配の方が少なくない?」
「彼奴等が強力過ぎるが故にあそこの土地に踏み入れられる者も、あそこの土地で生き永らえる者も…。 虹蛇様ならばきっと生き永らえる事も可能だしかし…」
あれだけ慕われていてはな…。
確かにやり方さえ間違えど、始祖や獣王達を想っていた事は間違いない。 やり方さえ正してやれば良い。
ヤマタノオロチにウワバミ…ね。
日本人なら聞いたことくらいはある。
確かウワバミは蟒蛇と書くんだったか。 大きな蛇は物を沢山のみ込むことから酒飲みに対してこの言葉が使われるとかなんとか…。
ってそれならここに居る蛇全員蟒蛇じゃないか!!!
っていう冗談は一旦置いておくとして…。
かなり詳しいってわけでも無いからヤマタノオロチとウワバミの違いが良く分からないな…。
事前になるべく調査が必要かもしれない。
場合によってはまた『交渉』 でどうにかなるかもしれないし。
どうにかするしか…ないんだろうな。
はぁ、仕事が増えるってのも困ったもんだ。
「コウモリさん。 まず、旧アストレア王国『ユースティティア王国』 の生き残りの居た未開の地を我が領地し、その生き残りであるリヴィエル・フォン・ユースティティアを伯爵にした事。 始祖のヴァンパイアが治めていた地を発見生き残りのロリータニアを保護し伯爵位を授与。 家名は追って授与。 更に我々は獣人達の国も発見。 現在友好関係を構築。 今後に期待。 現在蛇の国に滞在中。 一部部族と和解。 残りの部族とは今後交渉、もしくは戦争になる恐れあり。 滞在の延長します! って伝えておいて!」
「…後で怒られる時は一緒に怒られてくださいね…では…」
怒られるのが確定した瞬間であった。
「予備のコウモリです。 何かあったらお申しつけください。 もちろん、怒られる時は一緒にお願いします」
俺、巻き添え担当ですか?
「た、多分、そなたが思っているのは何かが違う…」
「え? そうか?」
「「「おーーーい!!! 酒が無くなったぞぉぉぉ!!!」」」
「「あいつらは何なんだ…」」
アイトワラスと俺は案外仲良くなれそうで少し安心した。




