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第三百四十話

「今、素直に謝罪をして、この場は攻撃してこないって言うのならば俺も攻撃する手を止めてやろうか」


「敵に情けを掛けるつもりか? 龍神王様に近しき者とはいえ、それは些か許せぬな」


そう言ってきたのは多分ウロボロスだろうか。

自分で自分を食べている不思議な奴だが、隙が余り感じ取れない。


「ずっとロリータニアを監視していたから攻撃しただけだ。 そちらに『攻撃』 の意図がないのならこちらに攻撃する意味はないってだけだよ。 勘違いしないで欲しいけどさ」


錬金術で足元に小さな土の隆起を作りそれを使い縮地でウロボロスに接近、首元にミスリル製のナイフを突き立てる。

何故ナイフか、と言うと蛇の皮を剥ぐのに丁度良さそうだったからである。


「あんたの肉はきっと美味そうだからいつでも狙ってるよ」


「…」


圧倒的な速度の違いに驚きで声が出なくなってしまう蛇達。

いや、ほとんど龍とか竜みたいなもんだろう。 このサイズ。

他の大陸の蛇の魔物、スネーク系とかが可愛く見えてしまう程だ。 むしろ、あれはこの世界にはペット枠か食材として存在していたのかもしれない。


虹蛇ってそう言えば天気操れるんだよな…下級神とかの類なのでは?

俺も雷系の魔法とかだったら無理矢理落雷落とせるし一種の自然現象を操っているわけだし…同類?


「まぁ、ここまで脅しておいてなんなんだけどさ。 人族や他種族と交流していく気ってある? あるのなら、龍神王様やドーラ様、竜人の国とかとも今より交流が取れる様になるけど」


「なぜそこまでする?」


「この世界の知らない事を減らす為だよ。 分からない事が多すぎたら不便だろ。 あぁ、協力してくれるならフロッグって言うカエルの魔物とかあげるよ。 こいつら人族の間ではゲテモノなんだけど、酒飲みの間では評判なんだよね」


「「「「「「「「カエル!!!」」」」」」」」」


こいつら、腐っても蛇だった。


「ごほん。 ところで、そのサケと言うのはなんだ?」


「酒飲んだ事無いのか。 あぁ、まぁ良いんだけど…。 ロリータニアを監視していた理由と謝罪をする約束してくれるなら飲ましてあげるよ。 少しだけ」


「良いでしょう」


虹蛇が代表して語り出す。


「あの娘の同胞は私らの同胞を良く襲ったのでな。 簡単な話、あの娘がこちらを襲わないか…と言うのは一つの方便。 もう一つは、あの娘に同情していました。 それだけのことじゃ」


「聞いた話では沢山の人を、始祖や、獣王達を殺し、ロリータニアを怖がらせているんだろ?」


「私らの血肉を求め襲い掛かってくる者を見せしめに喰い殺す。 そして、恐怖心を残す様に残忍に殺す。 だが、それに関してはすまないと思っている」


「んー…。 不器用…」


(((お前が言うな!)))


何処からともなくツッコミが聞こえて来たような気がするのはきっと気のせいだろう。


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