第三百三十三話
ゴーレムに領地を任せるか否か…。
頭を抱える問題が出来てしまった。
まずゴーレムとは生命体なのだろうか? 概念が揺らいでしょうがない。
…それと剣聖君。 君の食べてるそれはきっと虫だよね。
「はぁ…」
「ふぉうしたんふぉすふぁ?」
「食べ物を口に入れて喋らない! お母さんが泣くよ!」
「うっ!」
どういう意味のうっ! だよ。
「んっ。 それで、どうされんですか? どんな悩みでも剣聖である僕が一刀両断! …なんちゃって…」
こんなキャラだっけ?
「あの時からキャラ変した? まぁ良いや。 ゴーレムって生命体として認識して良いのかなってさ」
「ははは。 そんな事なら精霊だって極めて魔物に近い魔族だって人として受け入れているじゃないですか。 同じ様な感覚ではありませんか?」
言われてみれば確かにそうだ。
なんなら龍居るし。
問題なんて無いよな。
「ありがとう。 腹を括ったよ」
「あぁ、僕を、いえ…私を救って頂いたあの時と同じお顔でいらっしゃる。 きっと前に進めるでしょう」
めちゃくちゃ敬われてる!? 怖い!!!
「あ、ありがとう。 冒険者らしくもうちょっと粗暴に振舞っても良いんだよ?」
「あれ? 聞いていませんでしたっけ? 我々の夢は史上最強の騎士団になる事なのです。 ですが、少々裕福とはいえ貴族ではなかった為に僕達は過去に騎士の試験を落とされてしまいました。 私怨で」
そんな事、アストレアであったのか…?
「ちなみに帝国出身です」
オーマイガー…。
「良い事を聞かせて貰った。 陛下。 こやつらを我らが騎士団に入団させたい。 陛下直属、すなわち…」
「隊長の部隊?」
「左様」
「ははっ! それ良いね! じゃ、帰ったら手続きしよっか。 じゃあそれまでに騎士のイロハを叩き込んでおいて。 旧王国最強騎士さん?」
「御意」
「え? えええええええええええええええええええええ!?!?!?!?」
その後、遠くから剣聖一行のパーティの悲鳴も聞こえて来たが気のせいだろう。
南無南無。
因みに団長はスパルタである。
俺は先ほどのゴーレムの元へとやってきた。
「リヴィエル・ル・ユースティティア殿。 貴方にはこの地の領主を任命しかつての王位を鑑みて伯爵位を叙勲する事とする。 異論はあるか?」
「ございません」
「これよりリヴィエル・フォン・ユースティティアと名乗る様に。 本来ならば領都…じゃなかった王都の王城で正式に行うのだが今は簡易的なものとなってしまった事を許してほしい」
「ありがたき幸せ」
「これで良いのかな? 堅苦しいのは苦手だから疲れたよ。 誰か連れてくれば良かったや」
「凄くお上手でしたよ。 過去に見たどんな王族よりもとても!」
「ちょっと嫌だな…。 まだ森で魔物と戦ってる方が気が楽だ…」
ぎいいいいいいやああああああああ!!!
「な、なんの悲鳴ですかね、これ」
「鬼が新たな犠牲者を生み出してるだけだから気にしなくて良いよ。 俺もやられた」
怪訝そうな顔をしている。
この悲鳴の原因は割と知っている。
きっと魔力を一切使わずに肉弾戦させるあの脳筋のせいだろう。




