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第三百二十九話

そういえば…。

どれくらい酔っただろうか。 危ない。 例のヤツらが居るんだった。

うぅ、頭が痛い。 回復と解毒の魔法を重ねて掛ける。 それだけで体調は元通りだ。

日本でもこのくらい出来て欲しい物だが。


(先輩、日本でそんな事出来たらヤバイ奴増えますよ)


あ、最近空気気味だったナールムだ。


(あとでぶっ飛ばすんで)


ごめんなさい。


とかなんとかやってたらマックスも起きて来た。


「いやぁ、飲んだ飲んだ。 今何時だぁ? 皆寝てて分からねぇや!」


「それじゃ同感。 多分深夜だろうけどね?」


「そりゃそうだな! 水飲んでもうひと眠りするかぁ…」


「そうするかぁ。 そしたら丁度良いだろう…」


「それもそうだな。 起きたらアレだろ。 超高純度のアダマンタイトとミスリルのあるって場所に…」


「もちろん!!! 行くしかねぇっしょ!!!」


「俺も『専用』の剣が欲しいぜ」


「…善処しまするよ」


と言い、俺達は寝床に戻っていく。

マックスは大きな欠伸をしており、それはとてもとても大きな音だった。

結構近所迷惑レベルではある。


ぐぬぬぬぬ。

いびきがうるさくて眠れぬ。

普段ならあまり気にならないけれど…。 深酒し過ぎたか…。

これは良くないな…。


すると、足元をカサカサカサカサと這い回る感触を感じる。


光球の魔法を使い照らしつつ足元を見るとそこには…。


昼に見た、悍ましいあの虫が居た。

しかも動いている。

そう、昼とは状況が完全に違っているのだ。


「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」



「「どうした!!!」」 「どうされたか陛下!!!」


「ゴ、ゴキ…ゴキが…黒い刺客が…」


「陛下は本当に魔王討伐の勇者なのだろうか,,,」


ごもっともです。


勇気の欠片も御座いませんね!!!


ブーーーーーーーーーーン。


…へ?


振り向いたらこれは多分オオスズメバチだろう。 しかも三匹。

心なしかこちらを嘲笑っている様に感じ…そのまま俺は気を失った。


起きたら朝だった。


「おいおい、テイル…お前、あんな虫が苦手ってこたぁねぇよな?」


「アレは俺の元居た世界の虫で害虫? と刺されたらめっちゃ痛い蜂だね。 どっちにもエグイトラウマがあるんだ…しかも幼少期に何度も…」


「…それなら仕方ない気はするけど…」


「確かにガキの頃じゃしゃーねーわな。 貴族みてぇに誰かに護られてた訳じゃねぇんだろ?」


「うん」


はぁ…と頭を抱える一同。


「貴方の仰るトラウマを元にわざと驚かせてみたのですが、この子達には攻撃性はありません。 この世界に流用する際に創造神様がそう造り変えました。 ですので、あれは単なる悪戯ですよ」


そのゴーレム? の言う事に俺は心の奥底が沸騰していく感覚がはっきりと分かった気がした。


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