第三十二話 オーク討伐完了
確信はないけれど自信はあった。
あれはガス爆発に近いと思う。 科学の実験番組か何かで見たことがある。
それを模倣してしまえば良いんだ。
僕はやるぞ!
「喰らえ!」
正直素っ頓狂な声を上げていたと思う、
ドゴォン! と爆音と共に土煙が上がる。
成功した! オーク達へのダメージはどれくらい入っているだろうか...。
土煙が落ち着き、視界が晴れる。
明らかに死んでいる。 イメージ不足からかダメージの方は確実に劣っているだろうがやれている。
咄嗟に試してみたくなった割には上出来だ。
「まさかテイル様があんな魔法を無詠唱で行使するなんて...」
とメイカも驚いている。
それも当然だ。 エクスプロージョンなんて上級職でもなかなか扱える人はいない。
それを難なくやってのけたのだ。 それは驚いても当然だ。
だが今やったのは魔法の模倣よりも事象の模倣に近い。
完全再現まではまだ遠そうだ。
オークに苦戦しないというのは四人以上のパーティ戦闘での話なので二人でかなりの数のオークの群れを倒したというのは正直なところ常軌を逸しているだろう。
「うげ、睾丸取らなきゃなのか...」
「まぁ、絶対条件ではないですし討伐部位だけ持っていけばなんとかなるのでは...」
「いや、金は欲しい! ええいままよ!」
僕は頑張ってオークの睾丸を取り出す。
毒毒しい見た目をしており決してここから何か薬を作ろうなんて思う事のないような...そんなフォルムをしていた。 ...なんならちょっと動いてる。
だが仕方ないので討伐した計八体のオークから睾丸を抜く作業をした。
先程助けを求めてきた女性がお礼を言いたいと言ってきた。
「お礼を言われるようなことはしていませんよ。 僕達はオークを狩りに来ただけなので」
「ですが結果的に助けられたのは事実です。 誠心誠意の感謝を」
深く丁寧なお辞儀をしてくる。
「感謝のお気持ちは受け取りました。 それ以上はお気になさらないでください」
「わかりました、ありがとうございます。 何かございましたら王都のセントウル魔法学院の傍にある孤児院にお越しください」
「わかりました」
女性を王都まで送り届け僕達は冒険者ギルドへ行く。
「お、オークの睾丸ですね...。 討伐部位も把握しました。 数が多いですね...。 ただいま査定していますのでお待ちください。 テイル様はもしかすると今回でランクが上がるかもしれません」
受付嬢もオークの睾丸に明らかに引いてた。 数も出したしそれも当然だろうか。
「そうなのですか! ありがとうございます」
僕にランクアップの足音が近づいてきたのだった。