第三百二十八話
黒の閃光…いや、黒の死神…一体居たら何体も居るアレ。
ゴ〇ジェットを用意するしかないだろうか。
「ちなみに、これは特殊な個体故に貴方の思っている様な薬剤は効かないと思っていい」
ひぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!
帰りたい!!! アシダカ軍曹求む!!!
「あぁ、この虫は貴方の為でもあると言うのだから大人しく受け入れて欲しい。 これは薬剤の元です」
泣いても良いですか。
声にもならない様な悲鳴をあげつつも周りを見渡す。 周りはぽかんとしていた。
ゴキブリをみてもなんとも思っていないようだ。 この世界のゴキブリと言えば確かコックローティと言うデカいゴキブリ型のニブイ魔物が居たが…。
それならそこまで気持ち悪さは無い。 繁殖力もそこまでないし。
「テイル君、なんでこの世の終わりみたいな顔してるの…?」
「お前な…? こいつらの悍ましさは口で表してはいけないレベルなんだ。 魔王や魔神王なんて比にならない恐ろしさだ…」
「え、えぇ…。 僕達だってそんなの聞いたことないよ…?」
それはそうだろうよ。
「ふふ、ふふふ」
「て、テイル君が壊れたっ!!!」
「これは重症かもしれないね」
「そうだな…」
「こりゃあやべぇなぁ。 ぶん殴ったら治るか?」
「いや、殴っては駄目でしょう…。 それより貴方達はこれからどうするの?」
「…貴女は元【色欲】でしたね。 確か貴女はまだ名が無い。 我らと同じですね。 いえ、皮肉ではないのですよ。 まぁ、この地では色々栽培、養殖をしていますから。 それをあそこで白目になってるテイル殿にどうにかしていただければと」
「いや、私は…気にしてないけども。 あの白目が正気になるまでとりあえず…みんなでどこかにはけてましょうか?」
「それが良いと思う…」
おい、俺を何だと思ってるんだ。
と言うよりも俺は白目をなんてむいていない!
なんなんだよ。 一応国王だからお前ら不敬なんだぞ…! 不敬なんだぞ…!
ちょっと悲しくなってきた…。
「別にテイル君じゃ不敬とは思えないよ…」
心が読まれているっ!?
コイツ!!! 読心術の使い手っ!?
「いや、顔に出てるよ?」
なん…だと?
俺、そんな、顔に出てたのか。 ちくしょう…Gの刺客を見てから狂ってしまった。
「あぁ、そう言えば俺、もうこの世界だと酒飲んで良い歳じゃんか…」
その言葉に一斉に視線がこちらに向く。
止めてくれるなよ? 俺だって飲みたいのだよ。
「や、やめとけ?」
「なぁ、マックス。 良いだろう? コレ、新商品…一緒にどう?」
「うっひょー!!!」
そうして、酔っ払いが二人爆誕した事が何よりの災厄と言っても過言でも無いだろう。




