第三十一話 助けを呼ぶ声
休憩を終え森を走る。
サーチの魔法にはまだ反応はない。
「誰か! 助けて!」
叫び声が森にこだまする。
僕はメイカと見合わせて、互いに頷き声の方へと走る。
ずっと、切らしていなかったサーチにも反応がある。
残り五十mほどで薄っすらと見えてきた。
オークが女性を担いで移動している...。
魔法だと女性にも当たりかねないので打つことができない。
ここは近接戦闘で行くしかないので縮地を使う。
オークも僕に気付いたのか大声を上げる。
そして大振りに殴りのモーションを入れて来る。
遅いッ!
狙いがそれてオークの腕を切り落とす。
確実に首を狙ったと思ったが庇われてしまった。
足音が複数聞こえる。 増援だろうか?
討伐数の兼ね合いもあるので増援はありがたい。
いちいち探す手間が省ける。
だが囲まれる前に処理しなければいけないのは変わらない。
「シッ!」
縮地で一気に距離を詰め一閃する。
一体の首は落ちた。
増援のオークがそれを視認したのか走り寄ってくる。
女性は幸いにも投げられていたのでメイカが駆け寄って救護している。
女性との距離もあるので魔法ももう使用して大丈夫だろう。
「炎の矢よ! かの者を貫け!」
ファイアアローを詠唱しながら距離を取る。
オークは油を多く含んでいる為近接でずっとやりあっていると切れ味が落ちるとも聞いたことがある。
僕はファイアアローを一体の頭に放ちすぐさま次の魔法を詠唱する。
オークの爆ぜる音と僕の詠唱する声が重なる。
走り寄ってきたオークも思いの外数が多い。
オークの咆哮が響き渡る。
仕方ないので詠唱しながら僕は剣を構えオークに突っ込む。
オークのパンチを受け流しし懐へ潜り込み突き刺す。
「グゴァァァァ!」
と叫びながら倒れていくオーク
止まっていたら流石に的になるだけなので縮地で距離をとり詠唱の終わったエアカッターを放つ。
「グガアアアアア!」
僕のすぐ後ろで声がする。
まずい! 位置取りをミスってしまった!
するとメイカが僕のすぐ後ろに居たオークの首を切り落とす。
「無茶をなさらないでください!」
に声を荒げる。 その顔は角度的に見て取ることは出来ないがきっと怒っていることだろう。
「ごめん! 一気に倒してしまおう!」
一太刀オークに浴びせる。
やはり若干避けられ浅く入る。
仕方ないので錬金術でエアカッターを模倣し、首を落とす。
残りは三体。
僕はあの日見たエクスプロージョンを模倣してみることにした。