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第三百十九話

「テイルちゃん、今取引先増えてがっぽがぽちゃうんか? せやったら商業ギルドに預けてくれてもええねんで?」


「いや、まずは作業する人が足りないからそこまで一気に量産出来るか不安ではあるんだよ。 だから最初はそこまでお金は動かないし、預ける程でもないよ」


ふっふっふ…と黒い笑みを浮かべているアルガス。

ジャービル様も笑っていらっしゃるよ。


「そんな事や思って先に手は打ってあんで?」


「どういう事???」


俺は意味が全く分からなかったが。


「我らが帝国に住む民の中に居る生産職の方々からマーガレット王国に修行に行きたいという声がとても多くなったの。 だから、帝国では今後お店を持つ場合マーガレット王国の職人に認められないといけないって言うのも付けたのよ」


ラファイアル嬢が唐突に背後から現れる。

本当に天職は忍者ではない?

それとも俺が油断しているだけなのだろうか。


「それだと、帝国に生産職居なくならないかな?」


「もし、居なくなったらその時はその時よ。 ただ、帝国では今後生産の材料になる物の採集や、製造に力を入れていくのよ。 …丁度鉱山が幾つか見つかったの」


「まさかっ!」


「その通りよ、あの馬鹿皇帝やらなんやらのお陰で見つからなかった資源が一気に見つかったの」


「それじゃ、帝国から素材を買い付ける事が多くなりそうだな…」


ニヤニヤとしているラファイアル嬢…。 怖い。


「お兄様の為になるから私としては兄孝行って感じかしら。 ちなみにお父様は何故か鉱山で他の人の三倍採集している脳筋になったわ…」


「「「なんでやねん!」」」


綺麗にハモった。


「テイルちゃんイントネーション完璧やんか」


「今、そこ突っ込むの!?」


普通に脳筋のラファイアル殿が気にならない?

多分視界の端っこでボディービルダーみたいなポーズをしている上裸の素敵なおじさまがきっとそうだよね。

…うん。 そっとしておこう。


「ま、私にはマーガレット王国とアストレア王国以外と取引をする価値が無いのよ。 なんなら帝国の総意みたいな所でもあるわ」


「え、なんで?」


「あの皇帝から救ってくれたじゃない。 それに、生産職の人がちゃんと食事をとれる様になって、貴方が国神みたいな扱いになってるもの」


Oh…


「ちなみにアストレアも似たような感じになっとったで」


「これから教国なんかもそうなってまうかもしれんな…。 あそこ、元々勇者とか神様大好きな国やし…」


「他の神様から嫉妬されそうだから是非ともやめていただきたいが…」


(む、テイルが崇められるならそれは別に…のぉ?)


(朕も別に…)


なんでやねん!!!


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