第三百十七話
三賢者によるナールムとドーラへの嫌がらせを後目に俺はまったりとお茶を飲んでいる。
ただまったりしている訳では無い。
各国の生産系天職の人と話している。 いや、一方的に話されている。
やれどこどこでは新たな~だのなんだの。
いや、それうちの領じゃもっと前からやってますけれど…と言う内容ばかりである。
手助けが欲しい所ではあるが…。
「おい、テイル様! 今日作るのは仮設住居とマンションで良いんだよな?」
「あぁ、それで良いよ。 ところで仮の城はどうなってる?」
「あぁ、朝からやってるから大体は終わってる。 見た目は仮だから拘ってねぇけどよ。 古龍のブレスでも喰らえば壊れちまうけど、仮の城だから良いだろ?」
「まぁ、古龍なんて来ないだろうからね。 ところで、アーデルやミレイヤ達は?」
「ん? あぁ、あの錬金術師と薬師か。 もう来るぜ」
命令もしていないのにすぐ報告に来るのは偉い。
偉いけど…。
「な、なぁ。 俺達ってサカイに所属する建築国家の建築家だよな…。 アレ…一日で作れるか?」
「ガワだけならなんとかって所だが龍のブレスでぺっちゃんこだよ」
「技術力どうなってんだよ」
聞こえてまっせ。
「テイル様!!! 遅れました! 錬金術師アーデル参上致しました!」
「お、同じく薬師のミレイヤです…」
「久しぶりだね? って言っても数日しか経っていないけれど」
「「は、はい!」」
「テイル様に教えて頂いたレシピのお陰で錬金術師も薬師も質と味の良いポーションの精製に成功しております! あの森の入口にある薬草や石の破片を使うなんて思いもしませんでした」
「…同じくです」
もう作れたか。 数日は失敗すると思ったけれど。
あぁ、キングがコツを教えてくれたのかな。
「よくやった。 これで冒険者達や騎士達が怪我をしても助かるよ。 解毒用の物や軽い風邪とかに効く薬は出来たかな?」
「錬金術師達は失敗が多く全員の成功は不可能でした…しかし」
「薬師は全員成功しました。 り、量産可能ですっ!」
完璧だ。 そこまで出来るのなら、これも任せて良いだろう。
「流石だよ。 今までのレシピじゃ無理だっただろうに。 なら二人に指示を出す。 この石と同じ物があれば研磨剤が、この草とさっきの石を粉にして合わせれば…上級魔力回復ポーションと、上級研磨剤などが作れる。 基本的には割合の違いだけだから一度感覚を掴めば安定して作れると思う。 問題点は分かる?」
「「はい!」」
「流石。 なら問題点は? アーデル、一つ答えて」
「石やこの草を見分ける技術です。 これは違う素材だったらきっと同じ効果にはならないはずです」
「よし。 じゃあミレイヤは?」
「わ、割合の違いと仰ったので、僅かにでも分量を間違えると望んだものと違う物が出来てしまう…と言うことですかね…?」
「正解。 それを気にしつつ作成に取り掛かってみて欲しい。 レシピはこれね」
「「はっ!」」
騎士団みたいな返事は求めて無いのよ…?




