第三百十三話
アイコンタクトで会話をしていてもどこかすれ違っている気が…。
以前にもあったような…。
「さて、その様な辛気臭い会話はやめじゃ! ほれ、テイル! 酒と飯じゃ! 皆に振舞え!!! それを以て亡くなった者達への弔いとしようではないか」
「はいはい…。 こういう時にキングが居ると楽なんだけどな」
「坊ちゃま、お呼びでしょうか?」
は、背後を取られていた。
有り得ない程にイケメンのキングに違和感が取れずに困惑が隠せない。
「「「だ、誰…?」」」
そうだよね。 皆、そうなるよね。
「皆様何を仰っているのですか? 爺めはキングでありますぞ?」
はああああああああああああああああああああっ!?
と言う大合唱。 なんなら地響きまで起きている。
俺の雷霆よりも凄いよ、この響き方。
冒険者とか、魔法師…更にはそこらへんのただの通りすがりの人すら驚いてますが…。
「あ、あの…。 本当にキング様なのでしょうか?」
「そうじゃぞ? ロード、お主は変わらず不格好ではないかの…?」
「ぶかっ…そう仰られるのはキング様のみ…。 確信致しました…」
変な確信の仕方はやめて貰っても良いですか?
某配信者みたいな言葉が出てしまった。
いかんいかん。
「ま、まぁ手伝ってくれるなら何でも良いんだけど、ロードも手伝ってくれる?」
「はっ!」
え、なにその反応。
ロードってこんな俺に従順だったか?
困惑が困惑を呼ぶぞ。
「て、テイル君…」
背後からマリアが話しかけて来た。
俺の背後に立つのが流行ってるの?
「ん? どした」
「皆の治療をしていたら…皆テイル君の事崇拝しはじめちゃった…」
「なんでやねん!!!」
「お、サカイの言葉上手いやんけ。 自然に出とってホンモノかと思ったで」
ジャービル様? ニヤニヤしながら近寄って来ないでください。 怖いです。
勘弁してくれ。
「ジャービル様…居たんですか? 存在感無かったですね」
俺の最大限の仕返しだ。
どうだ!
「ふぅん…。 アンタの嫁ちゃん達男共にすっごい人気やったなぁ…。 まぁええけど」
「おい、その話詳しく」
「ま、存在感薄くてそれ以上の事はわからへんわ~」
くっ。 上手だ。
この世界でも関西弁を扱う者は口が上手いのか。
「そのくらいにしてやらんか。 それよりも見んか。 このボロボロの姿を」
…。
マーリン様とガイル様って肉弾戦でもしてたのか?
まるでボロ雑巾だ。
え、あっちに居る団長とマックスの方が綺麗だよ。
なにしたのこの人達…。
「テイルの真似して身体強化で突っ込んだらこのザマじゃ!」
「自業自得っ!!!」
そこから皆の笑い声が絶えなかった。
ちなみに各国の料理人達はその間にも着々とキングを主導に作業を進めており、あとから別で労ったのだった。




