第三十話 オーク討伐受注
僕は合格発表まで冒険者の依頼を受けることにしたので冒険者ギルドへ向かう。
受付は閑散としていて、とても暇そうな雰囲気だ。
多分俺が昼頃来たのもあるのかもしれない。
クエスト掲示板に丁度討伐クエストがあった。
―Eランク オークの討伐―
目標討伐数 四体
報酬 銀貨一枚
討伐証明部位による計算で追加報酬あり。
オークの睾丸の納品で報酬の増加。
討伐ランクはEだが受注可能はFランクからなのでこれを受けることにする。
騎士であるメイカも連れているのでそこまで苦戦はすることもなさそうなクエストだし。
掲示板から剥がし、受付に持っていく。
いつもの受付嬢が座っていたのでそちらに持っていった。
「オーク討伐ですね。 受理させていただきます。 備考欄にもございますが薬にもなりますので睾丸の納品で報酬が増加するものになっています。 オークは小規模ながら一番強いボスを中心に群れを作ります。 変異種や上位種ですと討伐ランクが変わってきますので上位種でしたら見つかる前に必ず逃げてください」
「わかりました。 ありがとうございます」
「それと...女性を連れて行く場合ですとオークは脅威度が上がります。 討伐難易度も上がるのでご注意ください。 では、こちらで説明、受理は完了です。 ご武運を」
「はい! 行ってきます!」
メイカは怪訝そうな顔でこちらを見ている。
「どうしたの?」
「私が居るとオークの脅威度が上がると言うのはどういう事でしょうか...?」
「あぁ...僕も図鑑で見ただけだから受け売りみたいになっちゃうんだけど、胸糞悪い話...オークは人間の女性を使って繁殖するんだ。 そしてその個体には雄しか居ないから、人間の女の子を見ると発情して、腕力が上がるんだってさ」
僕は自分の知っている範疇で疑問に答えておく。
「そうなのですね。 私が付いて行っても大丈夫ですか?」
「うん。 確かに腕力は強いけれど動きが鈍いから囲まれたりしても僕達なら十分対処可能かなと思ってるよ。 だから気にしなくて大丈夫」
僕は囲まれなければそこまで苦戦をしなさそうなのでこの依頼を受けたのだ。
「ありがとうございます。 全力を以てテイル様をお守りさせていただきます」
また王都の外にある小さな森に来た。
小さいと言っても東京ドームよりは格段に大きいので、十分な生態系が見られる。
今は目の前をかなり大きい角の生えた野兎が通りすぎて行ったところだ。
これは平原や森に現れるキラーラビットと言い、自分より小さな動物を角で攻撃し、捕食するという魔物なのだ。
自分より大きな生物には襲われない限り攻撃をしない穏やかな性格なため危険度は低いが素早さがウルフよりも高く討伐ランクはEに設定されている。
昼飯がまだなのでキラーラビットを捕まえることにする。
俺の使える騎士流剣術、軽剣術には様々な技が存在しているので活用する。
まずは縮地だ。
「シッ!」
大きく接近することが出来た!
小降りに横なぎ一閃。 他の剣術では見られないスマートな振りで基礎的な技過ぎて技名がないことが特徴だ。
「ハッ!」
ガキンという音がする。
見た目に油断して刀身に魔力を流さなかったせいか角で弾かれてしまったようだ。
若干苦戦しているとメイカが助太刀に入ってくれる。
「瞬閃!」
騎士流剣術にも軽剣術にもある技の一つだ。 因みに重剣術にはこの技は無い。
ごとりとキラーラビットの首が落ち、僕達はキラーラビット討伐することが出来た。
殆どメイカに持っていかれてしまったけれど...。
そしてキラーラビットを解体し、胸肉ともも肉に切り分け、焚火を作り焼いて食べる。
マジックバッグに塩だけは入れていたので塩だけかけて食べる。
新鮮なのでジュワッっと肉汁があふれ出す。
肉食の魔物なので油分が多く、濃厚な甘みのある味をしている。
キラーラビットは高級料理に使われているほどなのだ。 美味しいのは当たり前だったかもしれない。
ただ、旨味成分の塊みたいな味がする。
どうも米が恋しくなる。 味が濃厚なので丼物にしても良いかもしれない。
この国ではほとんど米料理は無いので、サカイから取り寄せる必要がある。
今はまだそんな余裕はないので、とりあえず眼前の肉だけで我慢する。
とりあえず二人とも食べ終わったので少し休憩し、それからオークの討伐に向かう事にした。




