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第二百七十話

陛下が我が家で行方不明になっているが、これは首を突っ込んだら危ないと俺の危機察知センサーが働いている気がする。

ただ、魔神王相手だろうが、大罪相手だろうが発動しなかったセンサーだから正直アテにはしていないが。


「今日はどうするか…。 メイカ? ちょっと軽く打ち合ってみる?」


「!? 丁度色々試したかったんですよ!!」


「まぁ、軽くだよ…? ほんとに軽くだよ?」


「??? 魔神王や大罪相手に互角以上に戦える方の軽くって私の本気以上ですよね?」


質問に質問で返さないって教わらなかったのかメイカ。

それ以上にツッコミどころがあるが。

俺は戦闘狂か何かだと思われているのか…。

何なら加減すら出来ないと思われている?

だとしたら心外ではある。


「…試し切りで山を一つ更地にした事…忘れてませんからね?」


そう言えばそんな事もあったかもしれないが正直それはあの聖刀が悪い。

軽くブンブン振ってたら山が消し飛ぶなんて誰も思わないだろうよ。

だが、あれは完全な事故だったわけで…。


「あれは刀が悪かった。 木刀だったらちゃんと出来るはず」


「などと供述しており…」


「おい、ナールム…それはやめろ」


通りすがりのナールムにネタを突っ込まれるが、メイカは何のことかは分かっていなかった様なので安心した。

むしろこのネタが通じたら怖かったと思う。

通じてたらナールムが教えたか、転生者かって言う択が濃厚になるので創造しただけで怖すぎる。


「じゃあ、構えて良いよ」


「いえ、このままで平気です」


そんなもはやニュートラルな状態どころか構えてすらいないのは…大丈夫なのか!?

いや、メイカの天職から考えても細い剣なら速度が、太い剣なら威力が補正される傾向にある。

この構えからでも対処が可能と言う事か…。

なら俺もちょっと気が抜けないな。


「行くぞ? 良いんだな?」


「はい」


刹那、心臓が握りつぶられそうな殺気をぶつけられた。

普通の野党や魔物ならこれでも卒倒してしまいそうなほどかもしれない。

だけど、俺は殺気が心地よく感じてしまうんだよ…。

特にこの程度の殺気なら。


「シッ!」


俺の疾さにメイカは目を見開く。


「っ!?」


何とか逸らしたか。

でもこれは何度も続かないだろうな。

もしもこれ以上何度も出来るんであったらば…それはもう魔王よりも断然強くなっている。

魔神王は疾さよりも威力重視にしたから測れないとは思うが。


「良く対処出来たね? たまたまかな?」


「…」


無言。 圧が凄いな。

徐々に加速しながら剣戟を繰り出して行く。

全て流される。

不思議な感覚だ…。

確実に人体構造を無視した速度を出している。


「へぇ…どこまで続くかな?」


俺が更にワンテンポ上げてトドメを…と思い一閃する。


しかしそれは受け止められ、どこからか取り出した二本目の木刀が俺の首に添えられていた。


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