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第二百六十三話

俺はそこで何を喋ったかは覚えていない。

ただ、俺を知っている人達が見たら『笑顔が引き攣っている』と言う感想になっただろう。

狸爺達にはもう美味い酒が出来ても飲ませてやらないと心に誓った。


「パパって冒険者さんなの?」


「そうだね、一応冒険者だよ」


「「すっごーい!」」


「冒険者なのに怖くない!」


龍の二人の感想は何とも可愛らしい物だった。

だが、そのあとの感想はなんなんだ。

俺も最初の登録の時にひと悶着あったからあながち間違いではないが。


「じゃあ冒険者ギルドへ行ってみるかい?」


「「「行く!!!」」」


まぁ、場所的には魔法師ギルドの方が近いのだが、きっとまだ早い。

魔法師ギルドにあまり顔を出さないのは魔法勝負を持ち掛けてきたり、色々と厄介な事が多いからだ。

挙句飽きるまで魔法について語り始める人が多いので目も当てられない。


「もうすぐ冒険者ギルドだけど、皆は覚悟は出来てるかな?」


「「「…」」」


冒険者ギルドへと向かう一人の男を見つけて、少し嬉しくも懐かしい気持ちになった。

ちゃんと立ち直ってくれたんだなと。


「ちょっとパパ知り合いを見つけたから声掛けても良いかな?」


「大丈夫…」


「怖くない人だから安心してね」


俺達はその人に近づいて行く。


「おーい、剣聖のおにいさんー!」


ブルッっと身震いをしてこちらを見る。

悪魔に憑かれてた時の威勢はどこへ行った?


「!? 僕の事を覚えて下さっていたの…いらっしゃったのですか」


「あぁ、畏まらなくて良いですよ。 しっかり覚えてましたよ。 ところで、これから冒険者ギルドへ?」


「あぁ、先ほど護衛依頼を終えたので…。 これからギルドに向かう所です。 恩人の治める領地を一度見てみたかったので、マーガレット領に来たのですよ」


「ならご一緒してもよろしいですか?」


「ぼ、僕は構いませんが…」


もう、ギルドが目と鼻の先だからそんな長時間一緒になる訳では無いんだがね。

懐かしい人に出会えたのも何かの運命なのだろうか。


「お、着いたね。 うちの子にギルドの説明をしてるので、気にせず受付に報告に向かってください」


「分かりました。 ありがとうございます」


ギルドに入ると一斉にこちらに目が向く。

昼間だと言うのに酒臭いなぁ。

誰だよ酒作ってる奴は。


「え、英雄様だ…」


「子連れになったって本当だったのか…」


様々な声が入り乱れる。 自由だなおい。


「三人共、あそこに見えるのが受付で、依頼を出したり、受けたり、報告したりする事が出来るんだ。 後は冒険者登録も出来る所だね」


「「「おぉ」」」


「それでこっちにあるのが依頼の掲示板。 常設で冒険者登録してなくても受けられるものがあったりもするからいつかやってみようね?」


三人共目がキラキラしている。

純粋って良いね。


「あと、幾つか本や資料のある部屋があったりするけど、アレはまぁ、まだ早いかな? あと、あそこで飲んだくれてるおっさん達が居るのはギルドでお酒や軽い食事を出しているからだよ。 あんなに飲んでて依頼に支障が出ないのか心配になるよ」


「領主様の商会のポーションを飲めば二日酔いもすぐに治るから大丈夫ですぜ!!!」


「いつもご利用ありがとうね…。 ポーションの使い方完全に間違ってるけど…」


「パパ! いつか冒険者になりたい!」


「じゃあもうちょっと色々お勉強をしたら登録しようね!」


「「「はーい!」」」


そうして今日は帰路に着く事にした。


後々キングから剣聖が俺達と入ってきた事で周りに取り囲まれ、半ば事情聴取の様な状態になっていたと聞いてちょっとだけ可哀想な事をしてしまったかな? とは思った。


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