第二百四十四話 まさかの事件
帰りは馬車とトラックの大群を率いている訳なんだが…。
「どうして俺は怪我人輸送用のトラックに載せられてて…大罪と賢者に囲まれてるのかな?」
「それに関しては二点ある。 集中力と緊張で倒れたからな。 養生の意味だ。 そして、こいつが話したいと」
そこに居たのは紛れもない【色欲】だった。
あれ? 目覚めてたんだ。
「そう不思議な顔をするな。 三賢者と貴様の妻達が魔法と薬を使ったらこいつの目が覚めた」
「あぁ…それは…で、話って?」
「操られていたとは言え敵対するような真似を…それどころか貴方の命まで奪おうと…許されるはずも無いのは分かっているわ。 それでも…。 大変申し訳ありませんでした…私の命で許して貰えるのならそれで構わないわ」
「はぁ…。 じゃあもうあんなのに不覚を取らないでね。 それより、魅了で壊れかけたうちの妻達に謝罪しといてくれたらそれで良いよ」
「テイルよ。 それで良いのかの?」
マーリン様! そのまま助けてくれ。
貴方が頼りだ!!!
「私は大変罪を背負い過ぎました。 命程度で償えるのなら…」
「いやっ! 話聞いてる?」
「テイル君。 この子は魅了とか使わなくても商談なんかが凄く上手いんだよ。 元々サキュバスどころか魔族の中でも一流の商家の出だったらしいし」
「せやったらウチで働いたらええやんか? 商業ギルドはいつでも優秀な人材を募集しとる。 罪を重ねたっちゅうんならこの守銭奴の領地で働いて償えばええんとちゃうんか?」
いや、まぁそうですけど。
「って誰が守銭奴だ!」
「許して頂けると言うのですか?」
やめろ、良くわからんがその恰好で俺に近寄るな。
遠くから殺気が飛んでくる気がする。
「あぁ…。 【怠惰】とジャービル様が良いって言うならそれで俺は良いけどね。 【憤怒】と【傲慢】にもなんか働いてもらいたいくらいだ。 冒険者とか」
「なんと慈悲深い…。 私は貴方様の為に精一杯働かせて頂きます」
「ふん、貴様の領地で働く等したいとも思わん…」
「これだから旧王国の騎士ってのは堅物だの偏屈だの、言われるのさ。 私は…。 そうだ、魔法の講師の職とかは無いかな?」
「貴様、騎士を侮辱するなど首が惜しく無いのだな? だが、人の世も変わっただろう。 少し騎士として貴様の家に仕えてやろう」
魔法馬鹿が増えた? 【憤怒】はツンデレか?
「貴様、何か変な事を考えていたな?」
「いや、別に。 そうだな…。 新しく作る学校…所謂学院みたいな物で魔法の講師をして貰えないかな? 基本的には基礎的な事を教えてく予定だけど自衛は出来る様にした方が良いから。 それと、騎士か…。 構わないけど…。 勇者が古代の勇者を騎士にするってどうなの?」
「それくらい構わん。 ん? 何か違和感が…」
(先輩、こちらの神様方と私で無理矢理ですが大罪のジョブを変更しました。 ちょっと苦労したんで後でご褒美下さいね)
「あ、大罪さん達? ちょっと鑑定しても良いかな?」
「テイル君? まさか…! まずは僕からで!」
――――リア―――
種族:人族
天職:大魔法師
ステータス
筋力 C
忍耐力 A
瞬発力 A
魔力 SS
―所持スキル―
魔力制御lv10(MAX)、錬金術lv2、全魔法適正lv10(MAX)
―加護-
アレスディアの神々の加護
「非常に言い難いんだけど…」
「どうしたの?」
「大罪じゃなくなってる。 種族は人間、天職は大魔法師。 あと…アレスディアの神々から加護が…」
「「「「「「「はああああああああ!?」」」」」」」
いや、俺も叫びたいです。