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第二百三十七話 四人の賢者

ま、彼も良いとこ見せてるだろうから私もやりますかね。


「後輩達? そちらの様子はどうだい?」


「数に終わりが見えんのう…。 先に魔力が枯渇するのが目に見えとる」


「魔力回復のポーションで腹壊しそうやで…」


「あぁ、君達にはアレが見えていないのか」


「アレ…とは?」


【傲慢】は敵陣のど真ん中を指さす。


「あそこに魔力溜まりの様な物があってね、あれをどうにかすれば新たな発生は抑えられる。 破壊方法も簡単。 大きな魔法をぶつければ良い」


「ガハハ! 単純明快で良いじゃないか!」


「でたわい…火力馬鹿のガイルめ…」


「あれはホンマに気ぃ狂っとるからな…」


ガイルの本来の戦い方は高火力の魔法で殲滅すると言うものだった。

多彩な魔法を駆使し戦場をコントロールする二人とは違うタイプであり、前勇者のクロキの苦手なタイプだった。


「いいね。 私と火力勝負と行こうじゃない。 後輩君? 私の放った後に皆の最高火力の魔法を同じ場所に着弾させてくれ。 それで勝負と行こうじゃないか! もちろんそこの二人も参加だよ」


「脳筋が増えたで…」


「テイル…助けてくれんか…」


「あぁ、彼の一撃なら余裕だろうね。 と言うよりもリアが居れば良かったがあっちに置いて来てしまったからね。 まぁ、やるよ」


放たれたのは戦略級でも無い中級程度の魔法。

しかし、威力が桁違いなのだ。

それは戦略級をも超えていた。


「デタラメ過ぎるじゃろ…」


続いてマーリンが過去に見せたエクスプロージョンを放つ。


「繊細に魔法使って誤魔化すしかできひんのよなぁ…」


様々な上級魔法を同時に行使し、それぞれをコントロールしながら放つ。

着弾のタイミングを揃える様にコントロールされた魔法はとても綺麗な物だった。


「いっけぇぇぇぇふんっ!!!」


ガイルがやった事はまさに脳筋のそれ。

エクスプロージョンを手で持ち、ぶん投げると言うもの。

エメリーが過去にやっていたのと同じ様な事だ。


「あはは! 良いじゃないか! 面白い!」


「喜んで貰えて良かったで。 なんや一人曲芸師おったけどな」


「! 誰が曲芸師だ!」


「まぁ、威力勝負は私の勝ちみたいだけどね」


「一目瞭然じゃな」


すっと向きを変える【傲慢】


「さて、そこでへばっている魔法師諸君? 今のを見たかい? もう新手は来ない。 君達の魔法も見せてはくれないか? なぁに、魔力枯渇で倒れたって誰も責めないさ」


「皆、良く聞け! この方は太古の勇者パーティの賢者ニア様である! 大罪と言う身に堕ちながらも英雄としてワシらに力を貸してくれとる。 あっちでは勇者も居るそうじゃ。 さぁ、若き魔法の探究者達よ! 今こそ力を示すのじゃ」


ある者はポーションをがぶ飲みし始め、ある者は杖を二本取り出す。

様々な光景が見られ始めた。

皆が残党の殲滅と言う目標の為に一つになり始めている。


「さて、ここからが正念場だ!」


【傲慢】が魔法を放てば戦場は壊滅出来るだろ…とは三賢者は一切口にしなかった。


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