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第二百三十一話 旧王国

「さぁ、久しぶりに君も手伝ってはどうだい? 私の一番弟子で勇者パーティの最高火力のリア君?」


「久々に僕の名前をちゃんと聞いたよ。 それとその呼び方は長いからやめてくれないかな」


「待つんじゃ! 【傲慢】と【怠惰】が勇者パーティじゃと? そんな事聞いたことないぞ!」


ガイルが珍しく食って掛かる。

太古の勇者パーティ達は誰しもが憧れる存在なのだ。

それ故に彼は大罪がパーティーに居たなどとは到底信じられなかった。


「一つ付け加えておこう。 パーティーリーダーは【憤怒】さ。 彼は古代勇者の一人だよ」


「そんな! ならば何故人類を…」


「後で詳しく話そうじゃないか。 まずは目の前の事からだよ。 違う?」


「致し方あるまい」


マーリンは魔神王と対峙した時にも使用した杖を取り出した。


「へぇ、それがまだ残っていたのか…」


「これについても聞かせて貰えると嬉しいのう」


「あぁ、約束しよう。 さぁ、始めてくれ。 リアも」


魔力を注ぎ、詠唱を唱える。

するとどんどんと魔法陣が強く発光していき、その光は【色欲】へと吸い込まれていく。


「うん、成功だ。 けれど、これだけの物を一人で背負ったんだからしばらくは起きれないね」


「となると僕達は現状ここを動けないわけだ。 ほぼ魔力切れの賢者三人に倒れたままの【色欲】…放っておいたら良いカモだろうね」


「まぁ、少し話もしなきゃいけない様だし? アレが君達のボスの元に向かっている事だから大丈夫だろうね」


そして、深呼吸をし…姿勢を正す【傲慢】


「私と【憤怒】、【怠惰】は太古に勇者パーティをしていた…これは話したね」


「うむ」


「私達の時代には天職と言う物は無かったんだ。 その代わりに様々な種族で手を取り合って生きていたからね。 そして、私と【憤怒】は王国から賢者と勇者の称号を与えられた。 だから君達とは違って天職が賢者な訳では無いんだ。 そして、【怠惰】…この子は私の弟子でスタンピードをたったの数発で終わらせてしまう程の魔法火力の持ち主さ」


「王国とはワシらの居る王国か?」


「半分正解だね。 旧アストレア王国…とでも称しておこうか。 今よりももっと小さかったからね」


「国土で言えば今の半分…は言い過ぎかもしれないけど三分の二程度だったと思うよ」


マーリン達は一つ疑問が残る。


「何故、旧アストレア王国と言うのじゃ?」


「簡単さ。 私達のパーティーで旧アストレア王国の王族を根絶やしにしたからだよ」


「何故じゃ…」


「王族はとある悪龍と取引をしていてね…。 それが中々に胸糞悪かったのさ」


「まさか…」


「あぁ、あの彼から聞いていたか。 そう、『賢者の石』の取引さ」


「なんと…」


「私達の時代は天職が無かった…すなわち誰でも錬金術師になり得た。 今でも多少無理をすれば可能な様だけど。 そこから先は私よりリア…【怠惰】の方が詳しいよ。 ま、単に人類と敵対してたってワケでは無いよ。 それと、その杖について聞きたいって話だったね」


マーリンはゆっくりと頷く。


「それの銘は忘れたけれど。 かなり名のある錬金術師によって作られた物だよ。 と言うか、私の杖のオマケで出来た杖だね」


「なんと言う事じゃ…」


「なぁ、マーリン。 ほなら…その杖売ったら死ぬまで遊んで暮らせるんちゃう?」


「馬鹿を言うなジャービル」


「面白いね、君達」


【暴食】の腹が途轍もない音を立てて鳴り始めた。

それを見て、その場は一気に空気が変わってしまった。


「オイ、笑ってんじゃねぇ! 腹減ったんだよ! クソ! 弁当持ってくりゃ良かった…」


呆れられながらも【怠惰】に弁当を渡され大喜びする【暴食】

賢者達はその姿に大罪と言う存在に畏怖の念など微塵も湧かなかった。


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